十一人の女学生

劇場公開日:

解説

「赤い手の娘たち」「島は夕やけ」を発表した小田基義演出作品。

1946年製作/80分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1946年8月21日

ストーリー

素朴な風貌、愛情と正義感に輝く眼、若々しい熱情に燃える声--「この先生はきっと自分達の頼りになって下さる」ということが期せずして十一人の生徒達の胸に感じられ互いに顔を見合わせて頷き合ったのである。新任の塩野先生に対する集団的愛情はここに始まったのである。女学校は幾百の純真な乙女達の心が、来るべき妻となる日のためにそして、母となる日のために、美しく、自由に醗酵すべき聖なる場所である。それをこの様な状態に打ち棄てておけようか。悪夢の如き戦争がすんだあとも尚、集英女学校には悪夢が残っていた。自分達の手でこの悪夢を払いのけようと思いを同じくする五年生の中にはいつの間にやら十一人の集団が出来ていたのである。自分達の心の中を綿々と訴え、校長に対する闘いの指導者となって欲しいと願った。塩野先生は学校の事情を聞いて驚いたが、かっての日、校長は塩野先生の恩師であった。そしてその時、塩野先生を支配していたものは恩師には叛けないという単なる感傷であったが悄然と帰って行く十一人の後ろ姿を見送っている中に塩野先生に強い感動が襲って来た。乙女達に協力する決心を打ち明けた。そして翌朝から乙女達の手によって色々の報告がもたらされた。校長はある時、教師を甘言をもって姦し不幸な運命に陥れたという事実、集めた寄付金は校長の懐中に入ってしまう不正もある。塩野先生は奔流の如き乙女達の情熱に自分がぐんぐん突き進められて行く事を感じる。乙女達の間には団結の歌「胸のリボン」が作られ意外な事件の発表は歌となり友情となり愛校心となり団結となって世の醜い悪と闘う熱情となったのである。かっての十一人の同志は今は全校六百人の同志となり、明朗な民主的経営管理の下に生徒達の顔は生気に溢れ授業は熱情を持って進められ荒廃し切っていた学校の内外は生徒達の手によって見違えるように美しくなって行った。やがて乙女達の一筋の情熱に動かされ教員、父兄、生徒は堅く結ばれた。

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