夜光る顔

劇場公開日:

解説

「大都会」「旋風街」の久松静児復員第一回監督作品。

1946年製作/74分/日本
配給:大映
劇場公開日:1946年6月13日

ストーリー

夜光る顔! 青白い燐光を放って光る顔が弁護士の野辺地と、脱税を計画中の戦時成金倉石金之助の邸に現れ、五百五十万円の宝石を国家に還えせと宣告して風の如く消える。翌日山崎警部の見張りの目をくぐって宝石が姿を消してしまった。倉石家には今家を捨てて母方の姓稲田を名乗ってレヴューの演出家をしている先妻の子徳穂と、後妻昌枝の娘美也子があった。徳穂は事件の当夜美也子の所を訪ねていたため嫌疑がかかり、取り調べの結果アリバイは成立したが、問題の宝石は夜光る顔によって警部の許に届けられ、その事から警部は徳穂がもう一人あることに気付く。野辺地は脱税の分け前をとろうと画策し徳穂を利用して目的を果たそうとする。ある日野辺地は高石と名乗る謎の男と対談中、高石は突然野辺地の陰謀を罵り、驚いて彼が逃げようとすると、いつの間にか高石の顔が徳穂の顔に変わっていた。一方、山崎警部は徳穂に双生児の弟一穂のあることを知り、金之助を追求していると徳穂がやって来、間もなく真犯人を見たと、野辺地が叫んでいるところへ、もう一人の徳穂が現れ、邸内は騒然となる。先に来ていた徳穂が、金之助の前で『この顔をよく見ろ』と頬のあたりをむしると、金之助はワナワナとふるえだした。彼こそ一穂だったのだ。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

映画レビュー

2.5登場人物・エピソード詰め込み過ぎ?

2023年1月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

角川シネマ有楽町にて鑑賞。
近日開催される「大映4K映画祭」の直前に、今回「大映創立80周年記念映画祭~ROAD TO THE MASTERPIECES」という連動企画があり、本作もその企画で上映されたレア映画。

「大映スリラー路線を確立した記念すべき久松静児監督作品」ということで観に行ったのだが、タイトルになっている「夜光る顔」はちょっと「ちゃちい」し、登場人物がたくさん出てくるのだが個性的な描き方をされていないので観ている途中で「あれは誰?あれはどっちだっけ?」となる感じで、スリラーの物語を追いかけながら少し戸惑う映画だった(^^;

冒頭のオープニング・タイトルでは、スクリーンに[品作映大]⇒[顔る光夜]と【右から左に読む日本語】が表示されたので「いったい、いつ頃の映画?」と思ったが1946年作品だった。
確かに、戦争成金の持っている宝石が狙われたりするので、戦後直後の雰囲気はある。
なお、助監督として鈴木英男(クレジット通り)が起用されている。

ストーリーとしては、戦争成金の倉石なる男がいて、彼は戦時中に銃弾の出ない銃を日本軍に売ったり、戦時利得税を脱税したりと金の亡者。それを悪徳顧問弁護士に見破られて強請られるのだが、「夜光る顔」なる者から金庫の宝石を盗まれてしまう。さて、「夜光る顔」なる犯人は誰か? 戦争成金や彼の子供たち・悪徳顧問弁護士はどうなるのか? …というもの。

この映画、事件解決した雰囲気になっても、「夜光る顔 って結局なんだったのか?」とか「金庫から宝石盗まれたトリックは?」というあたりが描かれていないため、全然スッキリした感じがしない。
72分の上映時間に、いろんな出来事・大勢の登場人物を詰め込み過ぎではなかっただろうか。
未ソフト化なのも納得の、戦後直後のスリラー映画のレベルはこのくらいだったのであろう。

<映倫No.219>

コメントする (0件)
共感した! 0件)
たいちぃ