隠密七生記(1958)

劇場公開日

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解説

吉川英治の同名小説を、「神州天馬侠(1958)」の結束信二が脚色、「旗本退屈男」の松田定次が監督した時代劇で、徳川家継の世の将軍家隠密と尾張藩剣士との対峙を描く娯楽篇。撮影は「旗本退屈男」の川崎新太郎。「旗本退屈男」の東千代之介・中村錦之助、「希望の乙女」の美空ひばりをはじめ、里見浩太郎・長谷川裕見子・桜町弘子・大河内傳次郎らが出演。

1958年製作/85分/日本
原題:Destiny of Credential Agent
配給:東映

ストーリー

--徳川七代将軍の頃。尾張大納言の居城・名古屋城の天守閣の金の鯱に、次の将軍家後継者をきめる、前将軍の遺言状が秘められていると言われ、幕府はそれをなんとか奪おうとしていた。尾張家では、天守閣の警固に、毎夜武士二名をあてていた。尾張家一の剣士・椿源太郎は、親友相楽三平とその番に当った夜、三平のすすめるままに酒を飲みに屋根から降りた。三平はその間に、鯱の眼底から遺言状をとり出すと、闇に消えた。彼は秘命を受けた幕府の隠密だったのだ。源大郎は共謀とうたがわれたが、捕方を逃れて、遺言状を奪い返すために三平のあとを追ったのである。源太郎の妹・信乃は三平を慕っていた。「二度とお目には、かかるまじく、隠密なればこその苦しみにて候。」こういう投げ文があったとき、彼女も三平を求めて家を去ったのだ。尾張はずれの小道で、源太郎は三平に追いついた。二人は各々の厚い友情に反して、斬り合わねばならなかった。そのとき、落雷で裂けた巨木が源太郎の上に倒れかかった。「源太郎、許せ」走り寄った三平が残したのは、この言葉である。--源太郎は道中師・お駒、辰蔵に救われた。この街道筋に精通している二人は源太郎には無二の味方だった。お駒は彼に段々ひかれて行く。江戸。三平は旗本久世邸で手厚いもてなしを受けた。将軍目通りの前夜、三平が敵の気配に抜き打ちに斬りつけたとき、血に染まって倒れたのは信乃であった。「遺言状さえなければ……あなたは私の夫……兄はお友達に……」彼女が息絶えたあと、三平は遺言状を奪った源太郎を追わねばならなかった。再び二人の対戦。が、三平が信乃の最後を知らせたとき、源太郎はがっくり刀を落した。「遺言状が殺したのだ。」彼は遺言状をとり出すと、それを黒煙をあげる谷底めがけて投げ捨てた。「未来永劫、あの遺言状が人を殺すことはないだろう。」折から駈けつけた尾張藩家老鳴瀬志摩守一行と旗本の一隊を前にしてのことである。志摩守は源太郎をあえてとがめなかった。彼を慕う娘墨江を彼に託したまま、馬首を返したのだ。--三平は墨江を連れた源太郎が遠ざかるのをいつまでも見送った。彼の手には、信乃の簪がしっかと握られていた。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

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