これが最後だ
劇場公開日:1958年10月1日
解説
愛娘を誘拐された両親、その犯人を追う刑事、逃げのびようとする犯人、これらの窮地に追いつめられた人間の心理を描こうというドラマ。甲斐久尊のオリジナル・シナリオを、「知と愛の出発」の斎藤武市が監督、「西銀座駅前」の藤岡粂信が撮影した。新人の待田京介・木城ゆかりに、永井智雄・内藤武敏・山岡久乃らが出演している。
1958年製作/55分/日本
配給:日活
劇場公開日:1958年10月1日
ストーリー
島田家の愛娘・美佐子が幼稚園の帰途、誘拐されてしまった。高橋刑事らはただちに捜査本部を置き、取調べを始めた。が、犯人の手がかりは全くつかめなかった。--島田家の人々にとって憔悴の夜が明けた。高橋は島田の会社の金を使いこんで一年前止めた運転手・小谷も取調べたが、ただ否認するばかりだ。彼は小谷を釈放した。が、高橋には犯人は必ず島田家に連絡してくるという確信があった。--美佐子の母・古代は泣くばかりだった。犯人--深井慎二と名乗る男から、タイプした手紙が来た。子供は無事。警察に訴えると、子供の命を貰う。島田夫妻の心はグラつき、自分たちだけで探そうとしたが、高橋は許さず、極秘裡の連絡を頼んだ。夫妻は美佐子さん探しに五十万の懸賞をかけた。テレビやラジオでは、犯人に哀願した。夜十時に谷中墓地へ百万円持ってこいという怪電話があり、刑事が張込むと、ただの金とりの偽犯人だったりした。--深井からまた手紙が来た。明日、一本道のポストの前で六百万円のダイヤと引換えに子供を渡す。その日、島田が立った周囲には変装した刑事が張込んだ。しかし、犯人は現れなかった。深井は電信工夫を装って近くの電柱の上で、すべてを見ていたのだ。その失敗に古代は興奮して島田氏へ叫んだ。--あなたと警察が美佐子を殺したんです。が、美佐子は生きていた。電話で、“ママ”と呼んだのである。深井は情婦恵子とアパートの一室で美佐子を養っていた。一週間たち、深井は警察に知れずにダイヤを持ち出す手段をやっと思いついた。伝書鳩。美佐子の友達・松雄に鳩を持たせて島田家へやった。高橋は例の工夫がにせ物だということを知り、またその左手にホクロがあることを煙草屋から聞きこんでいた。島田は鳩にダイヤをつけて放した。高橋はパトカーに鳩を追わせたが途中で見失った。深井はダイヤを手に入れると、香港へ飛ぶ手配をした。子供を或る劇場の席に残し島田家へ連絡した。高橋は再び小谷を取調べた。島田のダイヤを知っている線からだ。すると、同じタクシーの運転手仲間の深井に、ダイヤの話をしたと言った。元電信工夫。高橋は小谷を釈放し、彼を尾行させ、その訪ねたアパートで深井と恵子を逮捕することができた。