呪いの笛

劇場公開日:

解説

「二等兵物語」の安田重夫と「大岡政談 謎の逢びき」の本山大生の共同脚本を、「清水の佐太郎」のコンビ酒井辰雄が監督、倉持友一が撮影した怪奇映画。新派の喜多村緑郎が映初部出演するほか、大矢市次郎・伊志井寛が賛助出演、ほかに名和宏・高峰三枝子・山鳩くるみなど。

1958年製作/84分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1958年8月3日

ストーリー

鬼のような高利貸・按摩房市は貸した金を強引にとりたてようとし、旗本山上十兵衛に斬り殺された。その怨念のタタリか、十兵衛は愛妻茂乃を斬り、自分は井戸へ落ちて死んだ。それから十五年。踊りの師匠・お志奈は妹のお文が慕っている両替商山形屋の番頭・長五郎が、自分たち姉妹と同様両親を不慮の死で失い、弟と二人きりで暮していることを聞き、驚いた。余りにも似た身の上である。そのとき、笛の音が聞こえ、彼女らは父の斬り殺した盲人の断末魔の有様を想い浮べ、不安と恐怖におののいた。お志奈は大国屋惣右衛門と舟遊びの折、彼にいどまれたが、船頭長吉に救われた。長五郎は若主人源之助の命でお文を彼に取り待とうとする。が、お文から思慕を打ち明けられ彼女を抱いた。そのとき、呪いの笛が……。怯えてとりすがったお文を、長五郎は思わず突き放す。お文は土蔵の二階からそのまま落ち、血だらけで死んだ。長吉は大国屋の手先に傷つけられたところを、お志奈に救われた。彼はお志奈の行水を見、激情にかられる。彼女がこばんだとき、例の笛の音がまた……。お志奈は逆に彼にすがりついた。二人は笛の音で結ばれたのだ。長吉がお文を殺した長五郎の弟と知っても、お志奈は離さなかった。弟子のお京が強引に長吉と関係を結んだ。お志奈は彼女を殺す。長五郎兄弟は房市の子供であり、お志奈姉妹は十兵衛の子供であることを、お互いが知り因縁のおそろしさにふるえた。長吉とお志奈は追手を逃れて、長吉の叔父の船宿へ向ったとき、長五郎も十手に追われてその船宿めざしていた。長五郎は自首しようとするお志奈をとめ、自から捕手にむかった。お志奈らは船で逃れたが、笛の音が聞こえると、我が手で喉を切って水中へ落ちた。その波紋の中から長五郎の顔が浮び、長吉の幸せを祈ると、深傷に息絶えた。長吉の舟は大川の流れのままに漂った。岸辺を一人の盲人按摩のトボトボと歩く姿が見えた。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

映画レビュー

映画レビュー募集中!

この作品にレビューはまだ投稿されていません。
皆さまのレビューをお待ちしています。
みんなに感想を伝えましょう!

レビューを書く