野郎と黄金
劇場公開日:1958年7月22日
解説
牛原陽一監督の第一回作品で、一刑事と贋札作りの男たちの暗闘を描くアクション・ドラマ。佐川桓彦の原作を、「チャンチキおけさ」の脚本を共同で執筆した池田一朗が脚色、「お笑い三人組」の峰重義が撮影した。出演は「地獄の罠」の長門裕之をはじめ、岡田真澄・白木マリ・稲垣美穂子・二本柳寛など。
1958年製作/89分/日本
配給:日活
劇場公開日:1958年7月22日
ストーリー
現職刑事杉田二郎は、電話ボックス殺人事件で捜査本部と意見を異にし、捜査陣からはずされた。その翌日、妹の雅子が轢死体となって発見された。妹の死が事件に関係ありと見た二郎は、復讐心にもえ、独自の立場から捜査を開始、与太者になりすまして被害者島村と関係ある立花組に入り込んだ。ハデな喧嘩を売ったりしてたちまち顔が利くようになり、幹部の倉橋や山岡、立花組経営のホテル・ミドリの支配人池貝、それに殺し屋の坊やとも近づきになった。彼は雅子殺しの犯人をつきとめるため、彼女がつけていた青いイヤリングと同じ品を、立花組に関係あるバーやキャバレーの女達に買い与えた。また、島村が殺されたのは立花を裏切ったからだという事実を知った。立花は乾分たちには秘密にドル紙幣を贋造し、山岡、倉橋、池貝らはその工場をつきとめるため暗躍しているのだ。事件の手掛りを得た二郎は、誘われるまま仲間に入り、物的証拠をつかんだ。ところが千枝という女給に彼の身分を見抜かれ、一時は驚くが、彼女は偶然のことから知ったにすぎず、昼間は保育園につとめる真面目な娘である。二郎は千枝にも例のイヤリングをやった。それを見た坊やはなぜかハッとした表情になる。二郎は坊やこそ雅子殺しの犯人と見、否定する彼と決闘したが足を傷つけられおまけに、二郎の身分を怪しいとにらんだ立花に捕えられてしまう。一方、坊やは雅子の死を知って愕然。というのは、彼は島村を殺したとき現場に居合わせた雅子を好きになってしまい、彼女を殺せという立花の命令にそむいてホテル・ミドリにかくまったのだ。彼女が死んだとなれば、あるいは池貝が凌辱して殺したのかもしれぬ。坊やは激闘のすえ池貝を殺した。池貝は虫の息で、雅子殺しは実は立花だと告げた。その立花は捕えた二郎を拷問にかけていたが、二郎は口を割らない。そこへ瀕死の坊やがかけつけ、悪の根元・立花を射殺し、彼もまた二郎の腕に抱かれて息絶えた。