江戸の花笠
劇場公開日:1958年3月4日
解説
杉村章栄の原作を、「高校四年」の共同脚色者の一人、川内康範が脚色、「ふり袖太鼓」の萩原遼が監督、「忍術御前試合」の山岸長樹が撮影した時代劇。主演は「素っ飛び笠」の東千代之介、「忍術水滸伝 稲妻小天狗」の丘さとみ、「緋ざくら大名」の故里やよい。その他尾上鯉之助、大河内傳次郎、岩井半四郎、星美智子など。
1958年製作/77分/日本
原題または英題:Kabuki Vengeance
劇場公開日:1958年3月4日
ストーリー
法輪寺の僧浩然の父秀之進は、御領林闇伐採の濡れ衣を着せられ暗殺された。犯人は勘定奉行に成り上った当時の秀之進の下役大杉伝右衛門と材木問屋越後屋だった。浩然は大杉一味の陰謀をあばくため、江戸へ向った。その浩然を途中待構えていたのは、大杉輩下の馬場一味だった。多勢に無勢、眼下の川へ弧を描いて落ちた。浩然が息をふき返したのは秀之進が来山の折、仮住居にしていたという麓の庄屋松右衛門の邸だった。彼は松右衛門の娘おちかの献身的な看病をうけた。が、ここにも大杉の眼が光ったので、浩然はひそかに江戸へ立った。江戸は中村屋、舞台では折しも中村源之丞が舞っていた。と、舞台めがけて飛出した娘があった。浩然の後を追って飛び出したおちかだった。浩然と瓜二つの源之丞とは、毒殺されたと噂のあった兄秀太郎に他ならなかった。江戸に潜入した浩然は、たまたま出会った源之丞にゾッコンの芸者から、兄が中村屋に健在なことを聞いた。浩然が中村座に駈けつけたと時には、大杉一味におちかが連れ去られた後だった。その頃、大杉は浩然暗殺を企らむ一方、将軍の妹君お葉の方に、向島に贅を極めた御殿を造って献上、歓心を買い、老中の要職につかんと悪計をめぐらしていた。一方、時の大目付役淡島能登守は、お葉の方の周辺に動く悪業の気配を探っていたが、いよいよ大杉一味の放逐に乗り出し、向島の別荘の新築祝いた列席させた。当日、舞う源之丞の胸元を狙って大杉の手から銃火が走った。が、倒れたのは親の罪を背負い、身をもって源之丞をかばった越後屋の娘お春だった。最後のあがきに血迷う大杉一味の頭上に、源之丞と浩然の悲憤の太刀が走った。