高校四年
劇場公開日:1957年10月6日
解説
サン写真新聞連載の新津勝祐の原作を「怪談累が淵(1957)」の川内康範と新城鋭が共同脚色し、久久に森永健次郎が監督、「フランキー・ブーチャンの続あゝ軍艦旗 女護が島奮戦記」の山崎安一郎が撮影した。主演は「青春の冒険」の牧真介、「白い夏」の青山恭二、中原早苗、「殺したのは誰だ」の小林旭、「狂った関係」の三島耕。ほかに武藤章生、杉幸彦、木室郁子、二谷英明、南寿美子、三島耕、織田政雄など。
1957年製作/89分/日本
原題または英題:Schoolmates
配給:日活
劇場公開日:1957年10月6日
ストーリー
枝村明夫は青葉高校の三年生だったが現在は胸を患って入院中である。明夫の家庭は父と義母の三人だが、彼の療養費が家計に相当ひびいている事を知っている明夫は胸部切開手術も固く断ってきたのだった。そんな状態の明夫に思い出されるのは入学以来仲のいい、グループのことだった。“高校四年生”と最上級生になった時彼等は称した。自負する通りグループは一風変った連中の集りだった。明夫が入院してからは毎日交代で見舞いに来て、彼は居ながらに学校の動きを知ることができた。経済学博士と綽名される吉村は金の鬼で、学校では金を貸し授業が終ると銀座のバーで働いていた。菅野は超高校級投手、プロからも引く手あまたである。またベビードール有吉美沙子は学生妻だった。明夫の附添看護婦の添島久子は彼よりも二つ年上で明夫に対する看護振りは愛情に充ちていた。久子に母の面影を偲び、慕っているのだが、不安にさいなまれる明夫はおよそ反対の言動を取るのだった。ある時激情にかられて明夫は久子を求めた。静かにそれを制して久子は言う。「私は明夫さんが大好き、でも今の体にはいけないことなの」。こんなことから明夫は生への執着を強く感じるのだった。その頃吉村は悄然としていた。働いているバーで女給に欺され、百万円近く預金してある通帳をやくざの柴倉に奪われたのだ。これを聞いてグループの猛者熊木は柴倉の処に出掛けて行く。金はもどった。だが吉村は深く後悔して明夫の手術費用の負担を申出るのだった。明日は手術と言う日、明夫は久子への慕情にたえがたく、吹き荒ぶ嵐の中にさまよって行った。やっとのことで久子の家の近くまでたどり着いたが、力尽きて倒れた。翌日明夫の死という悲報にグループの面々はうち沈んでいた。「枝村の馬鹿」皆の頬には涙がとめどなく流れていた。