凸凹巌窟王
劇場公開日:1957年2月27日
解説
「一夜の百万長者」のスタッフ--脚本松村正温、監督斎藤寅次郎、撮影今井ひろし、による娯楽活劇。主な出演者は「信号は赤だ」の勝新太郎、春風すみれ、「一夜の百万長者」の花菱アチャコ、浪花千栄子、「スタジオはてんやわんや」の浦路洋子、「金語楼純情日記 珍遊侠伝」の清川虹子。このほか歌謡界から田畑義夫、胡美芳など。
1957年製作/82分/日本
劇場公開日:1957年2月27日
ストーリー
第一部鬼月島--泉州堺の廻船問屋大阪屋徳兵衛は悪事を働く奉行太田垣仙十郎に加担しなかったため、女房おとせと娘お雪を残して鬼月島へ島流しになった。成長したお雪は親戚の堺屋俊蔵や母たちの祝福をうけ、かねて相愛の奉行所組下の青江新三郎と結婚することになったが、直前に新三郎がさらわれる。悪奉行太田垣の仕業である。更に彼は堺屋の店舗を取り上げるが、瓦版売りの三吉は太田垣一味の非道をあばき立てている。結婚式場からさらわれた新三郎は鬼月島の地下牢に幽閉されるが、或る日、地面に穴があいてはい出て来たのは十五年間を牢で過し変りはてた徳兵衛その人。互に太田の手で地下牢に閉じこめられたのを知り、協力して復讐することを誓い合うと共に脱走のため穴掘りを始める。やがて海賊のドクロ洞穴へ出た二人は手製の珍ウラニウム爆弾で岩を爆破し出口を求めた。しかし大爆発で鬼月島は半分になってしまい、新三郎を見失った徳兵衛は彼を死んだものと諦める。そして洞窟で拾った謎の紙片のおかげで金銀財宝の在所を発見するが、そこには女海賊のお辰、妹のおまん、お吉らが家来にかしずかれて住んでいた。第二部海賊船--「呂宋の豪商、呂宋兵衛様の来朝」三吉の瓦版が飛ぶように売れる堺の町はやがて呂宋兵衛の到着でごったがえした。呂宋屋敷に招かれる大商人達は、お辰の通訳による呂宋兵衛の珍フィリピン語を聞き、彼の大尽ぶりに驚かされる。彼の百万の富に強欲の太田垣や一味の近江屋、難波屋が目をつけぬ筈はない。或る夜、太田垣は何事か企んで呆宋兵衛を招待する。折から邸の警戒を破って出没する覆面の武士がある。この謎の二人こそ、曽て地下牢で太田垣に復讐を誓い合った徳兵衛と新三郎。彼らは互の無事を喜ぶと共に再び仇敵撲滅の念を燃やした。一方、太田垣のために家業を潰された堺屋は今は屑屋に落ち、娘お菊をも身売りする。これを知った徳兵衛は夜のうちに千両箱を運んで堺屋を喜ばす。身内のものにも身分を明かした彼は呂宋屋敷に落し穴を仕掛け、、近江屋、難波屋と復讐するが、目指す太田垣に見破られ、三吉、堺屋、おとせ、お雪もろとも捕えられ鬼月島送りになった。しかし機転をきかせた徳兵衛と新三郎は作業員に化けて遂に太田垣らを地下牢に抛りこんでしまう。万事落着、堺の町はみなと祭にここを先途と賑わった。