アチャコ行状記 親馬鹿天国
劇場公開日:1956年11月7日
解説
花菱アチャコ・清川虹子のコンビが笑いと涙の中に捲き起す人情子宝探し騒動記。館直志の“たそがれの虹”より「アチャコ行状記 嫁取り試験」の若尾徳平が脚色し、「若人の凱歌」の青柳信雄が監督、「アチャコ行状記 嫁取り試験」の西垣六郎が撮影を担当。主な出演者は、花菱アチャコ、清川虹子のほか「アチャコ行状記 嫁取り試験」の藤間紫、「浮気旅行」の本郷秀雄、「若人の凱歌」の環三千世、その他、益田キートン、寺島雄作、沢村宗之助、丘寵児など。
1956年製作/61分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1956年11月7日
ストーリー
大阪郊外の小さな町。駅前に関東煮の屋台を出す中年夫婦市太郎と妻おちか。二人は今では細々ながら幸せに暮していたが、二十年前の悲しい思い出がある。当時、市太郎の病気で療養費を稼ぐためおちかは料理屋へ住込み、そのため可愛い子供を産婆大島に頼んで、天王寺公園で先方の名も聞かずやってしまったのだ。もう、年頃の娘になっている筈。二人はおへその横にあったホクロを頼りに探し廻るが仲々見つからないのだった。たまたま近所のトンカツ屋佐吉が子供を貰ってくれと頼みに来たので二人は承諾。だがその日、隣りの民子が夫須藤を駅へ迎えに行った際、見知らぬ若い女が赤ん坊を預けて行方をくらます。困惑する民子らに、市太郎夫婦は一晩子供を預ろうと申し出、家に連れ帰って鞄を開けると中には手紙。東京のさる娘静江が恋人との間に出来た子供を両親に打明けられず、困って捨子したものと判った。昔と似た子供の境遇に夫婦はずっと世話する気になる。ある日駅長の千島から手続きが必要と言われ、市太郎が怒って帰宅すると須藤夫婦が静江とその両親を連れてやってくる。父親佐々木は娘の不始末を詫びた上、夫婦にさせるから子供を返してくれと頼む。今は仄かな愛情さえ覚える子供だが生みの親に育てられるのが一番幸福。二人は承知したが佐々木の洩した言葉から、静江こそ自分らの娘ではと種々問いただすが、似た境遇でも異人と判る。淋しく泣くおちかを慰さめながら、市太郎は又明日から、ホクロのある娘を探そうと約束した。