けちんぼ長者
劇場公開日:1955年12月12日
解説
一界漁人(曽我廼家五郎)の原作を「親馬鹿子守唄」のトリオ中田龍雄が脚色、斎藤寅次郎が監督、西川庄衛が撮影を担当した。主なる出演者は「親馬鹿子守唄」の榎本健一、柳屋金語楼、「美女と怪龍」の田代百合子、「お父さんはお人好し」の益田キートンなど。
1955年製作/51分/日本
配給:東映
劇場公開日:1955年12月12日
ストーリー
嘉助と弥兵衛は立身出世を夢見て、三十年後の再会を約してそれぞれの道に進んだ。だが弥兵衛は紙芝居屋となり娘のお春と裏町に住む身となり、嘉助は高利貸になってしまっていた。嘉助の長男真一郎は強欲な父親を嫌って家出をしていた。真一郎は父親同志の因縁を知らず、お春と恋仲であった。約束した再会の日、弥兵衛は貸衣裳屋から新品の背広を借りて紳士のふりをして出かけた。嘉助は、昔の友にたかられるのがいやさにルンペン姿で現われた。同情した弥兵衛は借り物の背広を嘉助にやってしまった。そのため、貸衣裳屋の若旦那芳太郎からお春を嫁にと望まれて弱ってしまった。嘉助は土地会社を金でしばり上げ、会社の持つ土地の長屋一帯をヘリコプター発着場にして金を儲けようと企てた。まず草むらを只で刈らせるため、舶来の懐中金時計を草むらに落としたから、拾った人には五万円をやるといい、長屋の連中はそれを真にうけて時計を探すため草を刈り始めた。嘉助の娘の絹子はこういう父の企てを知って憤がいしていた。借衣裳の損害賠償に悩む父の弥兵衛の姿を見たお春は真一郎に相談した。真一郎は父親の元に相談に行った時偶然父の本物の懐中時計を手に入れた。妹の絹子から一部始終をきいた真一郎はその時計を弥兵衛に持たせて賞金請求に行かせた。意外な再会に二人は驚ろいた。自分のからくりを恨もうともしない長屋の人々の心に嘉助は打たれた。弥兵衛もまた高利貸姿の嘉助を見て仰天した。嘉助はヘリコプター発着場の代りに都民体育館を建てることに決め、借金の証文を一人々々に返して廻るのであった。お春と真一郎は結ばれた。