麝香屋敷
劇場公開日:1955年3月11日
解説
吉川英治の長篇小説から「血槍富士」の八尋不二が脚本を書き、「伊太郎獅子」の田坂勝彦が監督に、同じく牧田行正が撮影に当る。「七つの顔の銀次」の長谷川一夫と高峰三枝子、「めくら狼(1955)」の瑳峨三智子、「哀愁日記」の柳永二郎、「隠密若衆」の田崎潤、「ここに泉あり」の伊沢一郎、「血槍富士」の進藤英太郎等が主なる出演者である。
1955年製作/77分/日本
劇場公開日:1955年3月11日
ストーリー
島原の乱で天草四郎の首をあげた細川藩士陣佐左衛門が江戸大川端で何者かに殺された。暗殺団の首領と見られる覆面の優男を、柳生但馬の甥で夢想小天治と呼ばれる柳生道之助は、麝香の香りから湯女のお林と睨む。小天治が身を寄せる町奴双兵衛の娘お鈴は小天治と乳兄妹で、彼が好きでたまらない。小天治は犯人を切支丹にゆかりの者と見て、復讐の矢が将軍や松平伊豆守に向けられるのを恐れた。怪童むささびが双兵衛の家に忍びこんだが小天治に追われ、由比正雪の家に逃げこむ。正雪の家から深夜秘かにむささび小僧、お林、画猫道人が丸橋忠弥や金井半兵衛と一緒に出て来るのを小天治は発見する。そして正雪が切支丹一党を幕府顛覆の陰謀に利用しているのを知り、更に伊豆守の調査でお林は切支丹大名高山右近の娘鞠姫だと分った。将軍野馳けの日、七名の刺客が襲ったが小天治に撃退される。切支丹の弾圧は益々厳しく、お林らは大川の鶉島の隠れ家に移り、お鈴を誘拐檻禁した。敵地に乗りこんだ小天治は、人を殺す罪に悩むお林を見て、復讐をすてるように説く。いつしか彼を慕うようになっていたお林は、正雪配下の飛道具から小天治とお鈴を守り、二人を小舟で逃がしたが、その代償として将軍の命をとる事を正雪に誓わねばならなかった。彼女は能役者に身を変えて家光を狙ったが失敗し、小天治に助けられる。正雪は裏切者としてお林を殺そうとするが、馳けつけた小天治や役人に助けられ、お林は小天治の勧めによって、ルソン島にいる父のもとへ船出した。