東京暴力団
劇場公開日:1955年5月25日
解説
『面白娯楽部』所載の島田一男の原作を「火の女」の高岩肇が脚色、「お嬢さん先生」の鈴木重吉が監督する。撮影は「火の女」の長井信一、音楽は「戦国秘聞」の伊福部昭の担当。主なる出演者は「風雪講道館」の菅原謙二、三田隆、高松英郎、矢島ひろ子、「哀しき富士の白雪よ」の船越英二、八潮悠子、「楊貴妃」の姫路リエ子、「浪曲天狗道場」の大浜千鶴子に川崎敬三などで、岡田熟の遺作映画。
1955年製作/85分/日本
劇場公開日:1955年5月25日
ストーリー
日東新聞の記者木村豪平とコンビの谷キャメラマンは、伊豆大島での取材の帰途、K丸の船上で奇怪な投身自殺に出会った。彼等と同室の川崎ヒサ子という女性が甲板から姿を消したのだが、警官に気づかれずに室内に在った彼女のスーツケースを狙うかの如く、顔にあざのある男が木村と谷につきまとった。謎をはらんでK丸が東京湾に近づいた頃甲板へ出た二人は、船尾に近づいた小船に黒影が乗り込んだのを見た。例のスーツケースは水上署員に渡し、迎えの車に飛び乗った二人は、実は見事にだまされて暴力団一味の車に乗せられていたのだった。散散にやられた末二人は命からがら社へ戻った。自殺したヒサ子の兄は数ヵ月前に殺されたが、間もなく芝野という男が自首して刑務所に入っていた。ところが彼女と芝野は恋人同志だった。ヒサ子の兄が芝野の情婦波子と三角関係から殺されたというのは、背後の暴力団の仕組んだ大芝居なのであった。どうやら川崎兄妹殺しは芝野でなく兇悪暴力団の仕業とにらんだ谷は豪平に連絡しようとして無残にも何者かによって射殺された。亡き谷への復讐を誓った豪平は、キャバレーの女給照子の協力を得て、暴力団の首領江馬、狭山等の一味を追うに至った。連日全都を脅かす兇悪暴力団を、豪平は脱獄した芝野をおとりに後楽園におびき出し、壮烈な拳銃戦の後、一挙に絶滅したのであった。