霧の小次郎 第一篇金竜銀虎 第二篇魔術妖術 第三篇日光月光
劇場公開日:1954年8月8日
解説
「新諸国物語 笛吹童子 第一部どくろの旗 第二部妖術の闘争 第三部満月城の凱歌」と同じく北村寿夫の原作を小川正が脚色、「若者よ! 恋をしろ」の佐伯清が監督する。撮影は「浅間の火祭」の吉田貞次、音楽は「新諸国物語 笛吹童子 第一部どくろの旗 第二部妖術の闘争 第三部満月城の凱歌」の福田蘭童の担当。出演者は「浅間の火祭」の大友柳太朗、高千穂ひづる、「里見八犬伝(1959)」の東千代之介「浅間の火祭」の高松錦之助、「二挺拳銃の龍」の日野明子、「妖異忠臣蔵」の千石規子などである。
1954年製作/日本
劇場公開日:1954年8月8日
ストーリー
金竜銀虎--今から約五百年前、将軍足利義光は人民の汗によって金閣寺を作っていたが、それは執事の細川春貞が彼を位から落すためにたくらんだことであった。それを知った義光の弟義晴はこの事を憂えて兄に忠告するので、かえって春貞に殺されそうになった。その時現われた霧の小次郎は義晴を救い出したが、春貞の軍は彼を討つために出陣した。それを守ろうとした小次郎の幻術も、黒髪山の提婆によって妨げられ、あわれ義晴夫妻は無残な最後をとげた。その子さくら丸は小次郎に連れられて大江山に入って妖術を学び、一方妹の胡蝶尼は堤婆に捕われの身となった。十数年後、今は亡き小次郎の後を継いで、さくら丸は立派に成長して二代目霧の小次郎と名乗り、胡蝶尼を救いに黒髪山にやって来た。だが提婆の息子三日月童子との激しい妖術合戦となり、果ては堤婆自身も現れたので、遂に小次郎の術は破れて雲から激流に落ちて行った。魔術妖術--胡蝶尼は谷の流れに気を失っている小次郎を見出して介抱したが、小次郎がそれを長年たずねあぐんだ妹と知って自分の名を名乗ったが、胡蝶尼の方では若い娘の生血をとる悪魔だと逃げるのだったが、足をすべらして谷川に落ちた。やがて鈍作に救われ木賀の里刀工雪山の家ではじめて自分の生い立ちをきき小次郎を兄だと知った。だが三日月童子の妖術に再びとらわれた彼女は木にしばりつけられて提婆と二人にせっかんされた。その時小次郎が救出に現われたが、三日月童子の毒矢のために白鳥の面を割られ次第に苦しくなり果さなかった。三日月童子は満月城の赤柿玄蕃に胡蝶尼を売ろうとして、金だけを受けとると、再び胡蝶尼をさらって春貞に売りとばすのだと都の空へむかった。それを知った小次郎が呪文をとなえようとすると、足元の床が割れて雪山と共に深い井戸の底へと沈んで行くのだった。日光月光--三日月童子を打ち殺し胡蝶尼を妻にせんと玄蕃は都へ出発した。さて古井戸に落ちこんだ小次郎達は満月城の家老上月右門に助けられ、京へむかって行く。胡蝶尼は春貞に売りつけられてあかずの牢屋へとじこめられている。ところが三日月童子は胡蝶尼へ催眠術をかけ、その顔にしゃれこうべの面をかぶせて連れだした。小次郎はそれとも知らず彼女を三日月童子と思いこみ手裏剣を投げつけた。倒れた胡蝶尼をそれと知った小次郎は折から襲いかかる提婆をも打ちすえ、胡蝶尼を連れて立ち去った。怒った提婆は毒をぬった杖で三日月童子を打ったので、彼の顔は半分ただれてしまった。小次郎は胡蝶尼、右門をはじめ、白鳥党の人々と共に、しゃれこうべ党を滅ぼさんと都へ上ってくる。そして春貞と玄蕃は斬り殺されたが、提婆はその時毒矢を弓につがえて胡蝶尼を狙ってひょうと射た。その時胡蝶尼の前に立ちふさがり前非を悔いて倒れたのは三日月童子であった。やがて義光は再び将軍位につき、白鳥の旗は都にひるがえった。