土曜日の天使
劇場公開日:1954年8月24日
解説
新生新派上演の原作から「魔子恐るべし」の梅田晴夫が山本監督と共同で脚本を書き、「坊っちゃん社員 前篇」の山本嘉次郎が監督、「次郎長三国志 第八部 海道一の暴れん坊」の飯村正が撮影した。「抱擁(1953)」の山口淑子が久しぶりで主演をつとめ、「重盛君上京す」の森繁久彌、「その後のウッカリ夫人とチャッカリ夫人」の沢村貞子、「弥次喜多 金比羅道中」の清川虹子、「学生心中」の小林桂樹、「乾杯!女学生」の雪村いづみ等が出演する。
1954年製作/102分/日本
原題または英題:Husband Comes Home Every Suturday
配給:東宝
劇場公開日:1954年8月24日
ストーリー
土建会社社長片岡敬吉は叩き大工上りの無学非識字者で、息子隆也はダンス気違い、娘マユミはジャズ狂、女房直子は亭主の浮気封じに法華太鼓を一日中叩き通しという乱脈な家庭である。そこへ香港帰りの大原操がマスミの家庭教師として英語を教えることになり、二階の部屋に住込んだ。この家は十数年前、操が住んでいた家だった。彼女の出現以来、敬吉は妾の弓子も訪れず毎日帰宅し、隆也も浮々とする。彼女の部屋に忍びこもうとして、ドアの前で計らずも父と子がぶつかる一幕もあった。ある日、髯だらけで中共服の男が操を訪ねて来た。敬吉は強盗と思って警官を呼んで来たが、その男は操の幼友達宇津木宏であった。操の頼みで彼はその日から片岡家に同居する。髯を剃った宏は見違えるような美男子で、マスミも直子もびっくりする。操は宏を愛しているのだが、敬吉は彼女を何とか陥落させよぅと高価な贈物をする。これを知った二号の弓子は、妾業開店休業を宣告し、直子と共同線戦を張って敬吉を制止しようとする。ジャズを通じて教えた英語の会話が上達し、マスミの成績は優秀であった。彼女の作文には「先生がいらしてから父も毎日帰宅し、母は土曜夫人ではなくなりました。先生は土曜日の天使です」と書いてあった。宏の奔走で片岡邸は正当の持主である操の所有権が認められたが、彼女は片岡に家をゆずり、宏と結婚して新しい人生を開くため、皆に惜しまれながら去ることになった。