憧れの星座
劇場公開日:1953年11月22日
解説
西条八十の原案になる東映とコロムビアの提携第一回作品。『平凡』所載の大林清の原作により「続々魚河岸の石松」の笠原良三と「暁の市街戦」の高岩肇が共同脚色し、「風雲八万騎」の佐々木康が監督している。撮影は「健児の塔」の星島一郎、音楽は「若旦那の縁談」の万城目正である。キャストは「風雲八万騎」の高千穂ひづる、「南十字星は偽らず」の高峰三枝子、「びっくり太平記」の星美智子、「浮気天国」の宇佐美諄のほか、伊藤久男、鶴田六郎、奈良光枝、黒木燿子をはじめコロムビア歌手が総出演している。
1953年製作/92分/日本
配給:東映
劇場公開日:1953年11月22日
ストーリー
未来の音楽界のホープ佐竹美奈子は、母には死なれ父の顔は知らない身の上だったが、姉の芸者千枝子の庇護で昭和音楽院の声楽科に学んでいた。助教授の高木は美奈子に愛を抱き、彼女がバイト先の密輸の渦に巻込まれて退学になった時も、彼女を励まし自らも学院を辞して作曲家として立つ決心をした。しかし高木が彼女の級友北沢弘子と共に、北沢家の後援で渡仏する噂を聞いた美奈子は彼が北沢家の申し出を断る意中も知らず遠ざかってしまった。それから幾月、病に倒れた姉の療養のため芸者になった美奈子と作曲家として売出した高木が或座敷で邂逅した。誤解はとけ以前にも増して美奈子は彼を愛するようになったが、姉の危篤で又しても愛の道を違えねばならなかった。千枝子は自分達の父が作曲家山岸亮平であると言い残して他界した。凡べてに失望した美奈子は死の道を選ぶが艷歌師田宮父娘に救われ、やがて静岡での新人歌手コンクールに出演するまでに元気づいた。一方美奈子を求めながら熱海に来ていた高木は、先輩山岸が近くに侘びしく暮しているのを知り、例のコンクール審査員に推薦した。当日美奈子は合格するが、その唄こそ山岸が嘗つて作曲した歌曲であった。山岸は父の名乗りを挙げるが、彼女は冷たく田宮の許へ帰った。しかし先輩歌手里見織江の忠告や田宮の友情に促されて、山岸の謝恩音楽祭がコロムビアで華々しく催される日、父娘は抱擁しあった。そして高木の愛に包まれて桧舞台に上った彼女は、心ゆくまで歌いまくった。