子は誰のもの
劇場公開日:1953年6月24日
解説
「むぎめし学園」の金平軍之助の企画。竹田敏彦の原作を同じ「むぎめし学園」の館岡謙之助の脚本による浪曲母物映画。監督は「七番街襲撃」の伊賀山正徳、撮影は「山下奉文」の西川庄衛が担当している。出演者はこれが東映専属契約第一回出演となる月丘千秋(暁の市街戦)、「池田屋騒動」の花井蘭子、高田稔、「むぎめし学園」の子役小畑やすしのほかに、更にその妹の小畑よし子、新人小倉正則などが出演している。尚、浪曲の三門博と天津羽衣が特別出演している。
1953年製作/93分/日本
配給:東映
劇場公開日:1953年6月24日
ストーリー
青葉小学校に赴任した三島暁子はそこの教師秋庭俊二と再会した。俊二は暁子の姉康子の嘗つての愛人であり、更にこの校舎には康子と松浦喬彦の間に生まれた一男が通学していた。暁子は一男の受持となったが、一男は喬彦が康子と離婚してから後妻雅代に憎まれてか盗癖のある少年に成長していた。暁子は俊二と共に一男を善導しようとするが、ひそかに暁子を狙う同僚岩田は、二人の行動に卑しい風評をまき散らすのだった。喬彦は暁子と今は千代篭と名乗る芸者姿の康子に過去の非礼を詫びるが、雅代は嫉妬を燃やして校長に面会し、一男を暁子の組から離した。暁子から遠ざけられた一男は家出し、向島の待合で喬彦と語らっている所に現われた雅代に侮辱されて、その場を逃れてきた康子と出合う。康子は我が子恋しさに躍る胸を抑さえて一男を家に帰した。暁子に代って一男の組を担当した岩田は、松浦家の財産に目をつけ、嬌慢な雅代の歓心を買って松浦家に入りびたり、或夜遂に雅代は喬彦を裏切った。出張が変更になってこれを目撃した喬彦は、誰もいない部屋の隅で康子の写真を抱く一男の姿に、今更父としての愛情を甦えらせた。康子が本当の母だと知った一男は向島に走り、母子は泌々とした愛情に浸ったが、雅代と岩田は警察の力を借り、康子は誘拐者として曳かれた。あまりな態度に、暁子と俊二は雅代につめ寄ったが、出張先から駆けつけた喬彦は総てを己れから出た非と認めた。やがて康子を母と呼び喬彦の笑顔に守られた一男が、明るい頬を輝かせる日、初夏の陽射しを浴びた暁子と俊二も、楽しそうに大勢の教え子達と戯れていた。