あっぱれ五人男
劇場公開日:1953年5月13日
解説
「アジャパー天国」の八往利雄脚本、斎藤寅次郎監督と例のコムビによる白浪五人男のパロディ。撮影、音楽はそれぞれ「疾風からす隊」の服部幹夫、「女だけの心」の万城目正。「ちゃんばら手帖」の花菱アチャコ、「アジャパー天国」の堺駿二、伴淳三郎、「新東京行進曲」の北上弥太朗、「闘魂」の高千穂ひづる、「女だけの心」の千秋みつるなどが出演。
1953年製作/94分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1953年5月13日
ストーリー
野洲宇都宮、内藤家の家宝胡蝶の香炉が何ものかに盗まれ、当夜の宿直青木十三郎はその責を負って香炉探索のため江戸へ上る。その江戸では、大名富豪の財宝を盗み貧民にめぐむ侠盗日本駄右衛門の噂が専らである。十三郎は呉服商松前屋の娘お糸に難題をふっかけている小者利平に目をとめる。彼は仲間勤めのむかし十三郎の家の納戸金を盗んで逐電したことがあるのである。横っとびに逃げた利平の住みかは築地あたり、主の浪人木島主人がひらく寺小屋である。そばや長生庵の娘お篠、矢場の女お袖や子供たちが、主人の怪しげな講義を聴いている。お篠の恋人菊太郎は愚連隊仲間の力蔵ともども事あれがしにのし廻り、市村座にかかった「白浪五人男」の弁天小僧、南郷力丸がじぶんらをモデルにしたものと知り、楽屋で一暴れ、幾何かの金をせしめる。嘆きのお篠は二人を主人の寺小屋に通わせ、改心させた。一方、十三郎はお糸といつか恋仲であるが、前非を悔いた利平の助けを得て問題の香炉を探している。が、そのお糸に目をつけた主君下野守が家老岩本と謀り、十三郎に香炉盗人の汚名をきせても彼女を奪おうとする。恋と義理の板挟みにくるしむ十三郎は悩みを主水に打あげた。他方かつて下野守の側女だったお袖も、今は姫君のわが子会いたさに下野藩邸に忍び入り、とらえられて牢に投じられた。意を決した主人は十三郎、利平、力蔵、菊太郎を召集、主人じつは日本駄右衛門の正体をあかす。問題の香炉も彼の盗んだものだったが、彼はこれを発止とくだき、愕く十三郎に権力と金力の汚濁を説いた。翻然侍の世界から足をあらうことを決意した十三郎を加え、名代の五人男の働きでお糸、お袖は救われる。事終ってのち主人は従容縛についたが、あとの四人はそれぞれ堅気の生業についた。