姫君と浪人
劇場公開日:1953年4月1日
解説
「名月赤城山」の三村伸太郎のオリジナル・シナリオによって「権九郎旅日記(1953)」の志村敏夫が監督し、「鞍馬天狗 青銅鬼」の平野好美が撮影にあたった。音楽は「逃亡地帯」の服部正。主演は「決闘五分前」の堀雄二と「韋駄天記者」の香川京子。これに岡譲二、古川緑波、高杉早苗、左幸子などが助演している。
1953年製作/82分/日本
劇場公開日:1953年4月1日
ストーリー
花の向島妙蓮寺境内で浪人藤木三平は相馬十八万石の姫君やす子をみそめ、以来相馬家の邸のぐるりを終日離れない。これをいい笑い草にする浪人仲間や、界隈の駄菓子屋のおかね婆さん、常盤津師匠おこまなどの中でただ一人の彼の同情者は、雁九郎親分の用心棒を相つとめる髯の風間五郎助だった。風間の手引きで臨時用心棒に雇われた三平は、夜店の場所代三両をにぎって逃走する。金は相馬家の渡り徒士に住みこむための周旋料となった。命がけの恋である。愕然とする浪人達。--数ケ月たつ。三平は姫の顔を一目かいまみただけであった。ある日彼の荷物にやす子姫の女扇が発見された。姫の顔をもう一度目にしたいばかりに、彼は扇を手づからの頂戴物と偽わり、姫との対決の機会を得る。お手討は覚悟の上であった。--その純真な情熱に、姫ははげしく心をうごかされる。その夜、邸から二人の姿は消えていた。他家への輿入れを間近にひかえ、相馬家は大さわぎ。目付役から家老まで浪人長屋に乗りこみ、五十両、さらに百両と礼金を積んで二人の行方探しを依頼する。三平を哀れとおもいながらも黄金の誘惑にかてず、彼らはおかね婆さんの二階にひそむ町娘姿の姫、三平を相馬家へ引きわたした。お家の名を守るため家老達は姫に自害を迫る。折しも飜然友情にめざめた風間が一座に斬りこみ、姫と三平をすくって自らは供侍の群の白刃にたおれた。