悲剣乙女桜
劇場公開日:1953年3月5日
解説
「千姫(1953)」に次ぐ宝塚作品。脚本の中川博之、入来一二を除き、監督野淵昶、撮影藤井春美、音楽渡辺浦人、美術西七郎等主なスタッフは「千姫(1953)」と同じ顔ぶれをそろえている。出演者は「千姫(1953)」の浅茅しのぶ、東郷晴子、草間淑江、南郷比加利、「恋の捕縄」の屋上さくら、「その夜の誘惑」の新珠三千代、雅章子、「天狗の源内」の故里明美など、宝塚歌劇のスタアが中心になっている。
1953年製作/73分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1953年3月5日
ストーリー
伊勢国山田に新任の奉行藤懸半九郎は折しも発布の奢侈停止令をたてにとり、参宮道者の衣服改めを強行したから、山田の町は日毎にさびれた。意を決して請願に赴いた御使滝太夫家の女あるじ幾乃と供のお珠は、藤懸の一刀のもとに斬捨てられ、格式ある滝太夫家は御取潰しとなった。幾乃のお側女中達は主の仇うちを誓う。彼女らのうち萩江、お夏は芸人に、おりく、お京、お銀、お園、おしのらは針女に、それぞれ身をやつすが、このうちおしのは後難を怖れる家族の術策で奉行所に奉公の身となり、やがて、藤懸の側妾になった。奉行役替えを江戸表に願出た萩江の恋人神谷道太郎は捕殺され、次いで寝所に藤懸をねらったおしのも返り討にあう。お京、お銀、お園は仲間から脱落した。残る萩江、お夏、おりくの三人は、たまたま山田へ下向の堀田大老を路に要して直訴しようとしたが、惨めな失敗におわる。これらの動きに焦燥し、山田の女を呪った藤懸は目抜通り宮川堤の女人通行を禁じて、山田の町を一そう混乱におとし入れた。驚いた町総代連は、京島原の名妓吉太夫を藤懸に進じて懐柔しようと計る。吉太夫は萩江の幼友達であった。彼女の諒解のもと、萩江は吉太夫に扮して藤懸に近ずき、同行した女中姿のお夏、吉太夫とともに、首尾よくこれを刺すことができた。本懐をとげた萩江、お夏はしづかに縄についた。