トンチンカン捕物帳 まぼろしの女
劇場公開日:1952年9月18日
解説
「トンチンカン三つの歌」のシリーズとして同じ製作、脚本、監督、撮影のスタッフで作られた第二作。原作は雑誌「東京」に掲載された城昌幸の捕物小説。出演者は「トンチンカン三つの歌」の榎本健一、城正彦、清川虹子、打田典子、伴淳三郎に、「アチャコ青春手帳」の花菱アチャコ、「四十八人目の男」の沢村契恵子、「歌くらべ荒神山」の堺駿二などが出演している。
1952年製作/83分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1952年9月18日
ストーリー
江戸深川の材木問屋濱田屋重兵衛が自宅で何者かに殺された。御用聞きの遠州屋小平は早速子分の岡っ引チョイトの松と一緒に取調べに乗り出した。当日重兵衛は碁の先生井波宗角と手合せをしていたが、女中のお九が宗角に来客をつげ、宗角が玄関へ出て行った間に重兵衛は殺されていたという。来客は元禄模様の振袖を来た女だったとお九は申立てたが、宗角が出て行ったとき玄関には誰もいなかった。折から家族はみんな祭見物に出かけ留守だったので当然お九がうたがわれた。お九の母おたね婆さんは「おうた教」の祈祷師で、犯人調査に乗り出し、神さまのお出ましを祈ったが、神さまはお出ましにならず、血染の短刀が発見され、お九の嫌疑だけは晴れた。重兵衛の弟重四郎は徳川家のためお家断絶になった佐多家に伝わる宝島の地図の半分を濱田家で預っていることをおたね婆さんに話している最中、とんで来た短刀で殺された。チョイトの松は振袖の女を見つけてあとを追うが、舞踊の師匠路之助の家の前で見失った。中風で寝ている御用聞藤吉もノンビリ長助と共に事件解決に乗り出すが、長助の行きつけのソバ屋で、父を尋ねて八王子から出て来た哀れな母娘を助けたが、その父は腕に狐の彫物があるという。濱田屋の娘おしのは踊の師匠路之助を想っていたが、地図を持って江の島へ使に行く途中路之助に出会ったが、その時地図を紛失してしまった。地図は藤吉がわざと持たせた反古紙だったが、おしのはその封筒と、元禄模様の振袖とを路之助の家で発見した。路之助は驚くおしのに実は自分がある人に頼まれ地図を盗もうとしたが、決して殺人の犯人ではないといい出した時、どこからともなく短刀がとんで来て重傷を負った。それを佐多屋の家老山井蔵人に助けられ、ソバ屋の二階で、遠州屋小平こそ真の犯人であると打明けた。小平は皮肉にも子分のチョイトの松の働きで火見櫓で焼死し、腕に狐の彫物のある路之助こそ、哀れな母娘の父親と判明し事件は解決した。