「イメージだけで知ったつもりにならない方がいい名作」巨人の星(1969) モアイさんの映画レビュー(感想・評価)
イメージだけで知ったつもりにならない方がいい名作
現在U-NEXTで配信されているTVシリーズを視聴しているのですが、猛烈に感動したため、こちらに投稿します。
あくまで劇場版のレビューを投稿する場ですが、本当はTVシリーズを見て欲しいです。
物心ついた時から自分の生前にこの作品があった事は認識していました。
主要人物の顔も名前も知っています。幾つかの名シーンも知っています。
どこで知ったかは思い出せませんが自然と得ていた知識です。
そしておおよその内容については、トンでも理論で誇張され、ギャグの域にまで達してしまった野球漫画であるという認識でした。
TVシリーズを視聴し始めた切欠も、笑い話のタネになればいいな程度のものでした。
ところがいざ視聴を始めると、自分がいかにこの作品を誤解し、知ったかぶりをしていた事か、まざまざと思い知らされました。
確かに、ドヤ街をオープンカーで走りまわる推定14才の花形満、
ガソリンで火をつけたボールを箸でつまんでノック、
エプロン姿でガソリンスタンドでバイトする明子姉ちゃん等々、
イヤイヤイヤと思わされるシーンは数多あります。
しかし登場人物たちが一つの事に懸命に、徹底的に取り組む姿が胸を打ちます。
様々な試練と葛藤を乗り越え、最大の敬意と全力をもって挑む好敵手との死闘。
その結果が残酷なものであっても、敗れた相手の再起を誰よりも信じ、願い、待つのもまた好敵手であるという、濃密なドラマ。この圧倒的な熱量に、そもそも野球ってそこまでしてやらなきゃいけないものなの?という根本的疑問が湧く余地はありません!!
この劇場版第1弾はTVアニメ第33話までを88分にまとめたものです。
そのため当然数々の名エピソードがカットされています。
特にTVシリーズ第1話の長嶋茂雄巨人軍入団祝賀会に乗り込む星飛雄馬をカットしたのはいただけません。個人的にはこのシーンで「あ、これ絶対名作だわ…」と確信するほどのインパクトでしたから。
また、飛雄馬の父・一徹が飛雄馬に野球を叩き込む切欠がほんのり改変されているのも気になります。
TVアニメでは一徹の妻・春江が病気で命を落とす今わの際に、飛雄馬を一流の野球選手に育て上げることを一徹に約束させます。
これが映画では単に一徹が幼少の飛雄馬に野球選手としての才能を見出したからとされています。
これでは家族をあげての悲願の夢という熱量が薄れて残念です。(どちらにしろ自身の青春を犠牲にしている明子姉ちゃんは可哀そうですが…)
後は星一徹との親子関係ももっと拾ってほしかったなと思います。
一徹と言えばちゃぶ台返しのイメージで、気難しく、ちょっとした事で直ぐに癇癪を起すイメージでしたが、実際に作品を見ると、確かに厳しいですが、愛情深く、穏和な面も持っており、時には冗談を言う気さくさもあります。
飛雄馬もそんな父を、反発することはあっても深く信頼し、愛しているのです。
映画でカットされたシーンですが、近所の悪ガキに一徹を侮辱された飛雄馬が怒ります。
悪ガキは『だってお前、普段から親父さんの悪口言ってるじゃないか』と飛雄馬の反応に驚きます。
飛雄馬は『それは俺が父ちゃんを愛している証拠だ!』と言うのです。
なにこれ?飛雄馬メチャクチャ可愛いんですけど…。
映画にあるシーンでいうと、
飛雄馬は鼻持ちならないブルジョア学校である青雲高校を受験します。
その面接試験の会場ではみすぼらしい身なりの飛雄馬は場違いであると、周りの雰囲気が暗に指摘します。そんな雰囲気の中、面接官に父の仕事を聞かれ、飛雄馬は堂々と『父ちゃんは日本一の日雇人夫です!』(媒体により音声カットされています)と告げます。
面接をしている大人たちは大笑いしますが、飛雄馬はそんな反応が返ってくることなど先刻承知です。それでも自分の父を誇り、胸を張る飛雄馬の姿に感動です。
このように特異な環境ではあるものの親子二人三脚で巨人の星を目指す二人の姿はこの作品の序盤の大きな魅力の一つだと思います。
映画は幼少期・ライバル花形との出会い~高校入学~盟友・伴宙太との出会い~万年一回戦敗退の野球部を甲子園出場校へまでに作り変え、甲子園出場を勝ち取る過程がダイジェストされており、繰り返しになりますが、本当に数々の名シーンがカットされているため正直物足りません。それでも☆5をつけるのはTVシリーズの視聴をお勧めするためです。
もし未視聴で興味はあるけれど中々踏み出せないのであれば、大丈夫。安心して飛び込んでください。名作です。
こんにちは
共感ありがとうございます。
割と頑張って書いたレビューなので、読んで頂き
嬉しいです。
うちの父はアンチ巨人でした。
TV放送が巨人vs○○しかないから、アンチになるか?
素直に巨人ファンになるかどちらかでしたね。
プロ野球も残り17試合とかなりましたね。日ハムは連夜のサヨナラで盛り上がっています。
助っ人外国人レイエスが、神ってて(古いですね)驚きです。
去年、一昨年の辛さ苦しさが嘘のようですが、最後まで分からないのが
勝負事・・・ですよね。
余談ですが、「ヒットマン」が一番近い映画館の上映予定から
消えてしまいました。
行けるか行けないか・・・お天気任せの状態です。
日暮れが早くなりこの時期だんだん冬の降雪を考えると
憂鬱になります。
それではまた。
モアイさん、おはようございます。フォローバックありがとうございます!本当に、話が尽きない感じでいくらでも行けそうです😄マニア心が満たされるというか、とっても嬉しいです。
こちらこそ、よろしくお願いしますm(__)m
島本和彦さん!ちょっとくすぐったくなるくらい、懐かしい!
いや〜モアイさん、嬉しいです。実はコメントした後、「しまった…初めての方なのに、長々とコメントしてしまった…」と、ちょっと後悔&恐る恐る新着情報チェックしたんです。そうしたら、モアイさんとても丁寧な返信をして下さって、感激です😂
返信、ありがとうございます✨✨
書いていただいた返信コメントだけで、立派なレビューですよっ
モアイさんの『巨人の星のエッセンスって確実に今の漫画にもありますもの!』全く同感です!脈々と日本の漫画、ものづくりに影響を形を変えて与え続けているように思えます。
『絵の線を細くして伴宙太と左門豊作をイケメン化したら確実に今でも受けます!!』も〜モアイさん、面白過ぎですよ〜😂
でも本当に、今の漫画やキャラデは線が細い!ですよね。良い悪いではなく、時の流れですかね。
そうそう、『殺したい女』は本当に見当たらないですね。そもそもDVD化してないのですかね?
私の記憶ではVHSとゆー昔のビデオで観た感じでした。それからDVDレンタルの世界からは消えた感じがします…。
ダニー・デヴィート、ベット・ミドラーどちらも顔のインパクトだけで食べていけそうな、一度見たら忘れられない俳優、女優さんですよね😄
また機会があったら是非見たいものです。
では、また共感作品でお会いしましょう✨✨
モアイさん、初めまして、ホビットです😊色んな作品に共感を頂き、ありがとうございます✨✨
当方『殺したい女』に共感が付く日が来るとは思ってませんでした。そんな思いでモアイさんのレビューを色々拝見しました所、こちらの『巨人の星』に辿り着き驚きました。
まず、『巨人の星』のレビューに巡り合えた驚きと
私幼少の頃、親戚宅の巨人の星の原作を読み漁り、時同じくして『あしたのジョー』原作とアニメ並行して観ていた者であります。
とても懐かしいのと、胸熱な思い出と、現代ではパフォーマンスみたいになっていた所に、いや、それだけじゃないよ!!と、モアイさんが言って下さってるのが、更に胸アツでした!
そうですか、オズマが一徹のもとで特訓を受けてるところまでご覧なったんですね。
もうすぐ〝見えないスウィング〟vs.〝大リーグボール1号〟ですね‼️
そのあと2号、3号と開発されていきます。
絵の迫力はどんどんエスカレートしていきますよ❗️
美奈さんとのラブストーリー鑑賞済みなんですね。美奈さんが危篤状態で診療所の先生が飛雄馬を呼びに来る、あのエピソードが見事だと思うんです。
もし飛雄馬がマウンドに立っていたら声をかけるなと美奈さんに言われていた先生は、早く試合を終わらせてくれと祈りながら飛雄馬を見守る。
バックネット裏に先生の姿を見て美奈さんに何かあったのではと心配になった飛雄馬は、焦ってストライクが入らずアウトが取れない。
結末は悲しいのですが、人間心理の妙をスリルに仕立てるた絶妙な心理サスペンスだったと思います。
このような心理ドラマが全編で随所に見られます。
105話までご覧になったとのことですが、全182話ですから、大リーグボール2号が席巻しているあたりでしょうか。
ここから絵の迫力はどんどん増していきますよ!
是非最後まで楽しんでください。
「ランボー」は、4作目が公開された時は、スタローンも過去の栄光にすがってるのかと私も思いました。でも、徹底的なバイオレンス描写で、カッコいいヒーローではなく恐ろしい人間兵器になりきっていて、スタローンの覚悟みたいなものを感じました。
バイオレンスが苦手ならあ勧めしません(笑)
今度は「ランボー」へのコメントありがとうございます。
このシリーズは1作目は総じて高い評価を得てますが、2作目以降は賛否両論ですね。特に20年ぶりに復活した4作目とその11年後に公開した5作目は、酷評も少なくないですよね。
私は4〜5作目は、1作目とは全く異なるテーマをスタローンは訴えていると思っています。
「巨人の星」では、飛雄馬が唯一恋をした美奈さんとの哀しくも美しい純愛物語が好きです。
このエピソードはもうご覧になったでしょうか…
ネタバレにならないように、多くを書くのはやめておきます。
モアイさん、「イージー・ライダー」の方にコメントありがとうございます。
アメリカン・ニューシネマはいわゆる面白い映画は少ないので評価が難しいですよね。観た側がどう解釈するかで、評価は割れちゃう気がします。
「あしたのジョー」も私は大好きです。
破滅の美学は「タイガーマスク」やその他の作品も含めて梶原一騎(高森朝雄)の一貫したスタイルですね。
でも、そこで描かれた人間ドラマはそれぞれの漫画家の力もあって、カラーが異なるものでした。
漫画家の実力が高いほど名作に仕上がっていますね。
…いやぁ、こんな話がこのサイトで書き込めるとは思いませんでした。
ありがとうございます!
この時代に「巨人の星」への熱い賛辞が読めるとは思いませんでした。
映画版はTV版のダイジェストですからご指摘のとおりですね。
少年マガジン連載およびテレビ放映時に私は小学生でしたが、珍しく親世代が推奨したテレビまんがでした。
戦後の復興、高度経済成長を成し遂げた親世代は、この漫画のテーマ「ど根性」を戦争を知らない子供たちに教えたかったのでしょう。
でも、本当のテーマは、親(星一徹)のエゴによって過酷な宿命を背負わされた息子(星飛雄馬)が、やがて自我に目覚め、自身の存在性(誰のための人生か)を問いながら、親子、姉弟、親友との関係性に悩み苦しむ自己確立(への過程)だと思います。
時代の変化によって、梶原一騎の「破滅の美学」は笑いの種にされてしまいましたが、あの時代の少年漫画において、飛雄馬=ヒューマン、「人間とは」を強烈に描いていた傑作でした。
TVアニメも、プロ野球編に突入以降、見事な作画と演出が見られ、あれを毎週放映されるテレビ作品で実現した当時のスタッフの熱量が感じられます。