「人間裸一貫、正しいと思った道をまっすぐに進んでいけ」日本侠客伝 花と龍 たーちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
人間裸一貫、正しいと思った道をまっすぐに進んでいけ
今回の日本侠客伝には火野葦平氏の「花と竜」を原作にしていたり、東宝の星由里子さん、日活の二谷英明さんが出演していてまた違う雰囲気がありました。石炭を船に荷降ろしていく「ごんぞう」を男の中で男勝りに働いているマンを星由里子さんが好演していました。星さんと言えば「若大将シリーズ」のマドンナ役のイメージだったので、新しい雰囲気で良かったです。
イメージであまり良くなかったのは女壺振士のお京役の藤純子さんです。最初の登場シーンではいつものヘアスタイルでなく、ロングをそのままで壺を振っていて何だか変な色気があって良くなかったです。そのあとの3年後に登場した時にはいつもの髪を結いあげていたので、やはりこの方がカッコ良く見えました。
この作品の中できちんと書かれていなくて良く分からなかったところが2か所ありました。
1か所目は3年後に再会した金五郎(高倉健)がお京に「刺青」を彫らして欲しいと言われて、何日間も家を空けて彫り物を入れた事です。もうこの時にはマンと結婚していたのにお京の思いもあったのもあるのでしょうか。彫り物を入れます。男女の関係にはなっていないようですが、金五郎に彫り物を入れさせる心情は何だったのでしょうか。確かにマンとの思い出の菊の花と龍を入れて、マンへの思いが感じられたりもしました。ラストでお京がマンに「負けたわ」というセリフにも効いているとは思いますが、家を空ける事でマンへの不信感を考えるとどういったものかと思いました。
あとの1か所は戦友だった大田新之助(二谷英明)が3年後には敵対している伊崎組のヤクザとして入って、金五郎の永田組と争うところです。金五郎もどうしてそうなったのかが分からず、おそらく好きだったマンを金五郎に取られた事が原因となってましたが、ここまで好きだったような表現が3年前の大田とマンの間には表現されていなかったので、かなりの唐突感がありました。
この「花と竜」は原作者の火野葦平氏の父のストーリーらしく、こんな奔放な喧嘩の強い男性が実在したんだなと感心しました。
まだ若い小林稔侍さんが俊次というセリフもほとんどない役で出演していました。