「アヘン販売は関東軍の政策だった。」馬賊やくざ tekononさんの映画レビュー(感想・評価)
アヘン販売は関東軍の政策だった。
本作ではまるでアヘン販売が一部の軍人と悪徳商人が私欲のためにやっているかのように描かれているが、事実は関東軍総司令官以下が関与する軍事費ねん出のためのれっきとした政策として行われていた。したがってこの作品のように正義感から権力に抗してアヘン販売を阻止しようとするなど当時の社会感覚からあり得ないことだった。特にアヘン販売に積極的に関与したのは東条英機関東軍参謀長、岸信介満州国総務庁次長とアヘン王として名高い里見甫だった。東条と岸がのちに総理大臣にまで上り詰めることからも当時のアヘン販売が国家的な事業であったことがわかる。といった背景は抜きにして、この作品の出来はお世辞にも傑作というにはほど遠い。ストーリーが全くでたらめで登場人物それぞれの行動に必然性が認められないのだ。鶴田浩二が九州のヤクザである必要もなければ、馬賊の女頭目が日系ホテルでウエイトレスをやる必然性もない。タイトルの馬賊の登場シーンもショボいものでこれで「馬賊ヤクザ」などとよくも名乗れたものだとあきれるばかり。ただ評価は今は既に物故者となってしまった懐かしい顔ぶればかりだったので星二つとさせてもらいました。
tekononさんへ
貴映画評、楽しませてもらいました。
まったくお説通りにツコッミどころ満載ですが、それがかえってとても楽しいです。中国語は一言も話されず、それどころか中国人同士が日本語で会話している。近衛十四郎などどこからか急に登場してくるし、etc.
「馬賊の女頭目が日系ホテルでウエイトレスをやる必然性もない」
女給仕が女頭目と分かったときは、大笑いしました。 えぇ、なんでぇ?
まったくそのとおりで、馬賊の女頭目なら草原を馬で走り回って、少しは日焼けをしているはずだが、桑原幸子はお嬢さまのように白い肌をしているのも一興です。