「男の弱さと女の強さ」性の起原 M.Joeさんの映画レビュー(感想・評価)
男の弱さと女の強さ
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1966年製作の新藤監督の「本能」のあと、1967年の映画。テーマとしては男性の弱い性を取り扱っているが、いずれも相手役の女性の方が力強く生命力溢れる。
今回の男性の主人公は、殿山泰司でうだつの上がらない小市民で真面目な男性役がピッタリ。
精神を病んで入院しているが、入院先の同室(この設定が不思議)で若い女性のベッドに潜り込みキスをし拒絶され大問題に。そこがこの映画でずっと夫婦、家族の間の中で脈々と心に留め置かれている。
大学生の息子や娘も、父親には関心もなく半ば軽蔑している様子。妻役の乙羽信子は、それは気丈夫で、あくまでも「おとうちゃんはな」と夫を立て、かばう。その乙羽信子の演技はスカットするほど小気味よい。
夫婦なんだからと、妻の方から私はいつでも待ってるとか、公然と裸で泳いだりなどコミカルにこの50歳前後の夫婦の日常を描いている。性的なシーンが特段あるわけではない。
精神的に弱い主人公は仕事に復帰できても、会社からはうとまれ再び入院生活に。
結末は、「本能」同様あっけなかったが、最後まで妻の乙羽信子のきっぱりとした態度に感銘した。
広島市映像文化ライブラリー
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