学生仁義
劇場公開日:1965年10月27日
解説
井出英雄の原作を「忍びの者 伊賀屋敷」の直居欽哉と牧江保が共同で脚色、「あゝ零戦」の村山三男が監督した仁侠もの。撮影は「女めくら物語」の渡辺公夫。
1965年製作/84分/日本
配給:大映
劇場公開日:1965年10月27日
ストーリー
向う見ずが身上で、“学生狼”という異名をとる須田竜次は、ヤクザとの喧嘩を学長にとがめられ、業を煮やして、学長をなぐり倒すと、そのまま大学を退学した。そんな竜次をみこんで、用心棒にたのんだのが、中峰組の世話をしながら喫茶食堂を営む女おりんであった。だがある日、竜次が寝ぐらときめた古船に、前からそこに住みついている中峰組の荒木の鉄がなぐりこんだ。鉄は、漁師あがりのきっぷのいい男で、組の海外請負工事の派遣員でもあった。竜次はそんな鉄の男気にほれこんで、弟分の誓いを交わすと中峰組の一員にしてくれとたのんだ。だがやくざの掟は厳しく“白いものでも黒といえ”と命じられ一本気の竜次はヤクザの仲間入りをあきらめた。やがて鉄の海外行きの日が迫った。が、そんな時、新興勢力竹尾組が、中峰組のシマを荒した。竜次は単身竹尾組に乗りこみ、大暴れして刑務所送りとなった。霧の夜、鉄を乗せた船は港を離れ、霧笛のように、おりんを想って唄う鉄の磯節が流れて消えていった。それから二年の月日が流れた。刑期を勤めあげて出所した竜次は、竹尾組の暴力の前に見るかげもなくさびれた中峰組の姿を見た。さらに竹尾組は、市会議員沢村と結託して中峰組の埋立工事分捕りを策していた。そんな時鉄が外国からもどってきた。だが今の鉄は、すっかり堅気に生れ変りひたすらおりんとの平和な生活を夢見るだけだった。が、そんな鉄を、竹尾組の殺し屋が殺害した。竜次の心は決った。怒りと悲しみを胸に、竜次は“昇り竜”の刺青も鮮やかに、単身竹尾組と相対し鉄が形見に残した“モリ”で竹尾組の親分吉造を倒し、鉄の無念を晴した。かけつけた警官に連れられていく竜次の顔は明るかった。