爛(1962)のレビュー・感想・評価
全3件を表示
若尾文子は何を着ても色っぽい
この・・特にこれといった事件も起きないのに観客を引きつけて話さない序盤部分の脚本のうまさといったら!! それから やばいことが起きそうな予感を醸し出しつつ だんだんと盛り上げて行く・・。やはり新藤兼人はすごいなあ ということは感じざるを得ないね。二人の女と男の絶妙なキャラクター設定。 絶妙な関係。若尾文子の役どころも いつも ほど悪どくなく、いつもほど男をコントロールすることもできない・・ 絶妙な展開だった。そして 面白すぎない絶妙なレベルの脚本・・・。
一方監督目線で言えば、こういう脚本から面白い映画を作ることが 監督冥利につきるというものだろう。・・・例えば 男役の設定・・・ 田宮二郎 だからこそ いかにも女遊びが好きそうで 主人公が不幸になりそうな雰囲気が醸し出されている。 他の俳優だったらこんなにもうまくいってなかったと思う。 こいつは本当に奥さんと別れるのか?別れないのか・・ こんなチープなサスペンスで物語をうまく引っ張ったのは監督の実力も大きい。
そして、この映画はとても面白かった。世界芸術エロ映画のナンバー1にノミネートされるべき作品だ。 エロいシーンを直接撮らないでエロいシーンがあったことを想像させる・・・ それがいいんですね!
配信がなかったからDVD購入して観た。 購入して良かった。
増村保造監督×若尾文子の傑作のひとつ
この作品、若尾文子×増村保造監督の作品群の中でも素晴らしい映画‼️
本作は、脚本:新藤兼人、監督が増村保造で、本当に凄い若尾文子が見られる映画になっている。
増村監督は若尾文子について「追い込めば本気になって発狂状態を演じてくれる」と語っているが、確かに凄い迫力だった。若尾文子をそこまで追い込んだ演出を貫いた増村監督も凄い‼️
今回は3回目の鑑賞だが、映画館でしか観たことなかったので、DVD特典映像「予告編」では未使用シーンが見られて良かった。
初見は2013年2月1日(池袋・新文芸坐)
2回目は、2020年の新型コロナ禍が始まった頃、全国の映画館が一時的に閉館する直前に、角川シネマ有楽町で鑑賞。さすがに観客は少なかった😱
さて本作、冒頭は若尾文子が下着姿でソファに横たわってテレビを見ている場面。素足が綺麗😍w
そして、マージャンの俯瞰場面になり、某キャバレーでナンバーワンだった若尾文子と妻のある愛人=田宮二郎、彼の妻、上京してきた若尾文子の姪=水谷良重が、入り乱れて物凄い人間関係を繰り広げるドラマ。
美人女性=増子(若尾文子)は、妻帯者の男=浅井(田宮二郎)の「2号さん」としてアパートに囲われている。
しかし、浅井は増子の部屋に来ても、することだけして帰ろうとする。
増子は「貴方はココに私と寝るためだけに来るのね~」と言うが、「また明後日来るよ!」と帰ってしまうドライな浅井。
この時の若尾文子の表情が凄い。
そして度々やって来る浅井に「(浅井を)段々好きになっている気がする。
2号さんの生活なんて嫌だ」という増子。
浅井は「妻とは別れるよ」…と逢瀬を続ける二人。
そして、浅井は妻(藤原礼子)に離婚を切り出すのだが、妻が狂ったようになり浅井を攻める。
そして自分の靴を手に持ってハダシで道路へ逃げる浅井(田宮二郎)を、ハダシで追い駈ける妻。
このシーン、妻の情念が怖い狂気的シーンで増村演出が実に見事👍
そして、田宮二郎が若尾文子と水谷良重を「浦和にうなぎでも食べに行こう」と車で連れて行く場面は印象的。
確かに、『浦和のうなぎ』は今でも名物で、浦和に行くとうなぎ屋だらけでどの店に入ったらいいのか、いつも迷ってしまうほど。
昔の浦和は、田んぼの中にうなぎ屋があったのが分かる。
浅井(田宮二郎)と離婚した妻は、浅井のことを叫びながら発狂して……という、これまた凄い場面あり😱💦
更に、増子(若尾文子)が子供産める身体にするための入院中に、増子の姪(水谷良重)と浅井が肉体関係を持ってしまう。
その雰囲気を察した若尾文子が突然帰ったところ、田宮二郎と水谷良重の愛の現場。
ここからは、髪を振り乱して水谷良重につかみかかり、髪を引っ張り、蹴っ飛ばし、という若尾文子の狂ったような乱闘場面。
大迫力に圧倒される‼️
いやぁ~、本当に凄い女優魂と監督の演出力が結実した傑作である🎥🌟🌟🌟
<映倫No.12739>
全3件を表示