東京=ソウル=バンコック 実録麻薬地帯

劇場公開日:

解説

ダンプの運転手の主人公が、日本・アジアにルートを持つ麻薬密売組織に捲き込まれ、事件の全貌を知らぬまま、見えぬ敵を追って東南アジアを舞台に大暴れするアクション映画。脚本は「やくざ対Gメン 囮」の高田宏治、監督は「女番長 感化院脱走」の中島貞夫、撮影は「狂走セックス族」の増田敏雄がそれぞれ担当。

1973年製作/104分/日本
配給:東映
劇場公開日:1973年9月15日

あらすじ

和田達也は、韓国に新婚旅行中の妹・朋子と夫・吉岡竜次が、自動車事故により死亡したため、韓国へ渡った。しかし、事故現場に疑問を抱いた達也は何者かに襲われた。彼らは、韓国の警部・金大漢から、覚醒剤密売組織だと知らされ、また吉岡が、覚醒剤の運び屋として韓国警察からマークされていたことも達也は知った。達也は妹の死亡原因を追求することを決意した。達也はまず、吉岡の韓国での恋人の李明玉に接近した。その時、意外にも死んだはずの吉岡が現われた。再び金の情報で、達也が見失った吉岡と明玉が組織の手を逃れるため香港へ高飛びした、ということを知った達也も香港へ。そして吉岡は、香港で覚醒剤の製造液を手に入れると、今度はバンコックへ。達也は、吉岡を追う途中、不思議なタイ娘・パリンダと知り合った。バンコックで彼女は、暗黒組織に明るい腕利きの男ノンを達也に紹介した。彼は、達也が殺された妹のために犯人を追跡している、ということを聞き協力する。吉岡が、チェンマイへ向ったことを知った達也たちも後を追った。ハイウェーで、吉岡と達也の凄まじいデッドヒートが繰り広げられた。そして、この時、初めて吉岡は達也に事件のいきさつを語った。吉岡の勤務している会社は覚醒剤の製造密売をし、その事実を隠すために、吉岡が売人という触れ込みで韓国ルートがある噂を流していた。そして、警察に追われはじめたために組織から命を狙われているというのである。その時、頭上からセスナが襲いかかり、吉岡と明玉が射殺された。狙ったのは、吉岡のいた商事会社の藤堂とタイの麻薬組織のボス・べーラだった。達也は吉岡の手を固く握りしめると、妹、明玉、そして吉岡の三人を死に追いやった日本の大手商社への怒りがつきあげてくるのだった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

2.5何が面白いかと問われれば、こんなお粗末な映画をメジャーが作っていた事実が面白い。

2025年2月3日
Androidアプリから投稿

WOWOW「アクションスター千葉真一」特集放送にて。

テレビシリーズ「キイハンター」で爆発的な人気を得た千葉真一は、銀幕でもアクションを披露していたが、東映では千葉の主演作は“際物”の扱いだったのではないだろうか。ほとんどが雑な脚本で、低予算に見える作品ばかりだ。
そんな中で本作は、香港・タイ・韓国との合作で、海外ロケ中心の撮影に製作費と製作期間がそれなりにかけられている。「キイハンター」はアジアでも放送されて人気があったと聞く。
とはいえ、脚本の雑さに変わりはなく、海外の俳優たちもかわいそう。

この映画の最大の価値は、ノラ・ミャオを日本に初めて紹介したということだろう(今だから言えるのだが)。〝苗可秀〟とクレジットされている。
ノラ・ミャオは香港では既にブルース・リーの相手役を務めていたが、それらの作品が輸入されるのはもっと後のこと。「ドラゴン危機一発」での初々しい姿の方を日本人は後から見たのだ。

タイトルにある「実録」とは何を指しているのだろうか…。
どうやら菅原通済(※)が本人役で出演していて(物語上、あの老人が何者なのか、ましてやご本人だとは全く分からなかったが)、彼の体験が映画に反映している(ことになっていた)からのようだ。
本作の前に公開されている『麻薬売春Gメン』とその続編も菅原通済のバックアップで製作されている。
※経済界のドン的なイメージがある菅原通済だが、映画は好きだったようで松竹とのつながりも強く、小津安二郎を支援して自らも何本かにカメオ出演している。洋画の配給なども行ったようだ。麻薬撲滅のために山口組と連携したりして、本当にこんな人がいたのかと思うくらい規格外の人物だ。

浅黒く脂ぎった千葉真一たが、案外お尻は色白だった…。

千葉がトラックを駆ってソウル→香港→バンコク(当時は“バンコック”だったんだなぁ)と後を追う相手は松方弘樹。
黒サングラスに白スーツで、まるでデューク東郷だ。
数年後、やはり香港との合作『ゴルゴ13 九竜の首』で千葉がデューク東郷を演じるが、見た目だけなら松方の方だ。

格闘アクション、ガンアクションにカーチェイスもありで、韓国・香港・タイのスターとも共演となれば面白そうのだが、イケてないタイトルの通り、内容は酷いものだ。
脚本も酷ければ演出も酷く、何より音楽がびっくりするほどいい加減で、開いた口が塞がらないのだった…。

極真空手の有段者である千葉真一が『ボディガード牙』で初めて空手家の役を演じたのは本作の翌年。
「空手バカ一代」のTVアニメが放映されて一大空手ブームが巻き起こった時だったが、映画界が『燃えよドラゴン』でブルース・リーのカンフー旋風に沸き返った影響の方が強かっただろう。空手もカンフーも当時は一緒くただったのだ。
それから間もなく、ノラ・ミャオが日本の男子たちを虜にしていくのだ。

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kazz

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