「じんわりした時間の流れ」おばあちゃんの家 菜野 灯さんの映画レビュー(感想・評価)
じんわりした時間の流れ
前に通っていた美容院の、忖度しなさそうな職人系の美容師さんは、映画好きで、話しのきっかけで、どんな映画好きなんですか?と問うたときに、「おばあちゃんの家、だったかな、たしか韓国の」と言っていたので、きっといい映画だろうなと思っていて、上映みつけたとき、すぐ観に行こうと思ってみたら、その通り、素晴らしい映画でした。
ソウルで暮らしてきた母と男の子。母親の事情で山奥に一人で暮らす祖母の家に預けられることに。子供は残虐なほどの無邪気さで、汚い、バカとか平気で口にするが、祖母の実直な優しさに次第に、こころが溶けていく。
この様子がじんわりした時間の流れとともに描かれている。祖母役であったり、ロケ地であったりが、実際暮らしてきた中で準備されたリアルさがあって、また、カットも俯瞰であったり、影絵であったり、広角、寄りであったりセンスを感じるし、さらにカットごとの間があって、ほどよい時間の感覚がしました。
社会的にみれば、実際、こうした過疎地で暮らす親と、都会で暮らす子供のって現代でも普通にあるし。都会の子供は、年老いて体も不自由な親がひとり田舎に暮らしていても、都会で一緒に暮らそうと言ったところで、住み慣れた家を離れることは親も嫌がることが多い。心寄り添って生きることの大切さもこの映画で観た思いがした。
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