「この劇場版では本来の面白さが分からない」未来少年コナン 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
この劇場版では本来の面白さが分からない
1978年にNHKで放送された名作アニメを、総編集し1979年に公開された劇場版。以前NHK・BSで放送されたものを録画して鑑賞。
宮崎駿の出世作としても知られるこのアニメ。後の作品の片鱗が垣間見える。
キャラクターデザインやダイナミックなアクション、少年少女の冒険や人間の傲慢といったテーマ…。
また、コナンとラナはパズーとシータだし、憎たらしいレプカはムスカだし、勝ち気なモンスリーはクシャナだし、荒廃した世界はナウシカを彷彿させる。
宮崎アニメの原点。
しかしながら、宮崎はこの劇場版には一切関与していない。安易なTVシリーズの総編集劇場版に疑問を感じ監督を拒否したとか。
実は、「未来少年コナン」はこれが初見。
たまに往年のアニメの総編集劇場版を見る事がある。
大抵はすんなり見れるのだが、本作は頂けない。
説明不足、深みが足りない、展開が早過ぎ、はしょり過ぎ…初見でも嫌でも感じてしまった。
コナンは何故そこまでしてラナを助けようとするのか、ジムシィは何故コナンに協力するのか、ラナと祖父の秘めたる能力など踏み込みが足りず、ラナが住んでた村ハイハーバーの描写は丸々カット。ストーリーも大きく改変され、ラストも違うという。
TVシリーズとはまるで印象が違う作品になっているらしく、この劇場版はコナンの活躍に焦点を絞った明朗冒険活劇。
なので、劇場版はファンからは総スカン。
まあ、それも何となく納得かな。
後、音楽が酷い。ハラハラドキドキのシーンに流れる明るい音楽に興ざめ。
音楽もTVシリーズとは違う音楽が使用されているらしい。(ちなみにTVシリーズの音楽を担当したのは今やベテランの池辺晋一郎氏)
色々と不完全燃焼。
今度、TVシリーズをレンタルで見てみようかな。