「2025年の物語」あゝ野麦峠 La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)
2025年の物語
(日芸映画祭2025にて鑑賞)
イギリスの産業革命から百年近く遅れて一気に広まった日本の製糸工業を支えた女性の職工たちの過酷な労働を描いた50年近く前の作品です。大規模なセットを組んで、大勢のエキストラを投入し、オールスターキャストで描くという山本薩夫らしい大作です。
公開時には、昔の「歴史物語」として観ていたと記憶しています。
「この時代から一歩一歩前進を続け、改善された労働環境を獲得して来た」
と思っていたのに、2025年の今、改めて本作を観ると「知らぬ間に現在のお話になっているじゃないか」と気付かされ呆然とするのでした。
そして、今回改めて気づいた事。労働者階級の厳しい現実にカメラを向け続けて来たケン・ローチ監督が、自身の作品に演技未経験の実際の労働者をしばしば器用する理由を問われて、
「労働者の手と皮膚の映像はごまかせないから」
と述べていたのを思い出しました。確かに、大竹しのぶさんも、原田美枝子さんも、古手川祐子さんも手と皮膚は女優さんのそれでした。
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