「傑作」おんな刑務所 KIDOLOHKENさんの映画レビュー(感想・評価)
傑作
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とにかくストーリーが面白い。
ログラインで言うと、「一日だけ脱獄して人殺しをして帰ってくる」話だ。
主人公が何のために脱獄するか。その動機の持って行き方が、とても良く書けている。面白いというより美しい。桂千穂の描くキャラクターは全体的に腹の中どす黒いヤツラばっかり。なのだが、彼らはそのどす黒い中にも美しいものを持っていて、そこのところを浮き彫りにするのが、上手い作家だ。彼は作品の多分90%ぐらいが駄作なのだが、突然傑作を書くから面白い。いや、天才とは本質的にそうかもしれない。
この脚本はもうちょっとしっかり書くと自然と1時間半 とか それ以上の映画になる。
例えば 主人公の動機をもうちょっとしっかり書くとか
久しぶりのセックスで感じてしまうところをもうちょっとスリリングに書くとか
ヤってしまった彼女を励まして、同行してきた刑務所職員のところまで連れて行くとか・・
日活ロマンポルノのポリシーで長さは70分ぐらいと決まっているのが残念。名作になれた着想だった。
生まれた赤ん坊をコインロッカーの中に入れてしまうというショッキングなエピソードがある。これは当時本当にあった事件であった。この事件を着想した素晴らしい話が手塚治虫のブラックジャックにある。思い出したファンも多いことだろう。
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