銀河英雄伝説 わが征くは星の大海のレビュー・感想・評価
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チープな宇宙船
1988年 劇場版第一弾「わが征くは星の大海」の4Kリマスター。
タイトルが銀河英雄伝説ですからオープニングで英雄の定義を語るナレーション、「歴史上に名を残し世界を変えたいと野望を燃やし人間の歴史の中で砕け散っていった人々が居た、ひとはそんな人達を英雄と呼ぶ・・」
一般的には武勇や才知などがすぐれ、普通の人には出来ないような事柄を成し遂げる人。歴史上では「世界三大英雄」はアレクサンダー大王、シーザー、ナポレオン、日本では織田信長、豊臣秀吉、徳川家康のような戦国時代の武将や、坂本龍馬、西郷隆盛のような幕末の人物、源義経、楠木正成、本多忠勝、真田幸村、土方歳三といった武将たちが挙げられます。また、聖徳太子や大久保利通、勝海舟なども英雄と称されることがあります。女性は英雄ではなく女傑ですね。
全110話にも及ぶ長編の一話だから主役級の人物紹介程度です。話としては戦国時代の長い戦いの場を宇宙に置き換えた程度、一応、専制主義と民主主義の闘いとしているものの戦争ともなればイデオロギーは描けず、出てくるのは兵士ばかりで国民は蚊帳の外・・。
主役の英雄は銀河帝国軍の大将ラインハルト、金髪のイケメンです、対峙するのは自由惑星同盟の准将ヤン・ウェンリー、こちらも黒髪の青年将校。どちらも上司の司令官はクズ野郎、二人は独自の判断でなんとか生き延びます。思わず「踊る大捜査線」じゃありませんが「事件は現場で起きているんだ!」と叫びたくなりました。
肝心の戦闘シーン、終盤では戦艦の爆発音など効果音を敢えて入れず、ラヴェルの「ボレロ」をずっと流している、確かに宇宙は真空だから音が伝達しないと言うなら分かるが他のシーンでは発していたし、「宇宙戦艦ヤマト」や「スターウォーズ」でも効果音は入れていましたね。
「ボレロ」バックでの進軍は格調高さは感じるし有名な「ゴジラ」のテーマ曲もラヴェル作曲のピアノ協奏曲第3楽章のメロディーが曲の基になったとされており作曲者の伊福部昭がラヴェルを深く尊敬していたことが、引用の背景にあるようですから戦闘シーンにラヴェルは馴染むのかも知れませんね。ただ、どうしても絵の方に目を向けると星は点々、宇宙船も列車みたいだし、戦闘も光線の様なものが飛び交うだけで、VFXのチープさは拭えない、まあ、古い作品だから仕方ないかな・・。
ボレロの戦闘シーンが素晴らしい
最新作の「ノイエ銀雄伝」ではなく、1988年からのOVAシリーズの銀雄伝に先駆けて上映された作品で、銀雄伝が最初に映像化された作品。ですが、いきなり全く本編と関係のない「惑星レグニツァ上空の戦い」「第4次ティアマト海戦」の話。なんでこの人たちが戦っているのか説明なしで、銀雄伝を知らん人が観てもサッパリわからないでしょう。ラインハルトが出世していく戦いで、外伝に収められている話。銀雄伝のエライところは、彼らが軍人としての地位が上がる理由となる、武功をあげた戦いが設定されていることですね。
戦闘の進み方は原作と違うが全体には影響ないので、楽しむのは戦闘シーンです。なんと言ってもティアマト海戦のシーン。ラヴェルのボレロが流れるなか、ラインハルトが戦場をダンスを踊るように左右に進行する戦闘シーンが見事です。当時は戦時加算がありボレロの著作権が切れていなく、使用料を払って使ったそうです。
銀河英雄伝説は宇宙戦争ものなのですが、面白いのは戦争を支える政治、経済がメインで描かれているところです。私は小説派なので、是非、原作を。
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