大人の見る絵本 生れてはみたけれど
劇場公開日:1932年6月3日
劇場公開日:1932年6月3日
登場人物は声を発することなく、何を話したか後から音声が流れる。
まさに動く絵本という感じ。
サラリーマンあるある、子ども同士の付き合いあるあるということで、特に目新しい内容ではないが、どこかよかった。
第9回キネマ旬報ベスト・テン第1位。
Amazon Prime Videoで鑑賞(活弁:松田春翠)。
小津安二郎監督の描く子供は子供の実態をよく捉えていると感じます。子供は無垢だとよく聞きますが、実際はそんなことありません。悪く言えば悪魔みたいに感じることもある。
ですが本作の子供たちは純粋故、大人の社会に抵抗や憤りを抱いているように描かれている気がしました。子供の目線で見たら、大人の社会はヘンテコ。ハッとさせられました。
偉いってなんだろう。子供同士だと力の強いヤツがガキ大将になるけれど、大人になるとどうもそうではないらしい。強い子供の家来の父親が強い子供の父親の上司なのだから。
子供にも子供なりの世界がありますが、大人になると一気に世界は変わる。理不尽に耐えなければならない局面が来る。それが悲しいかな現実なのだから、生きていかねばならない。
コミカルでシニカルな傑作でした。
小津安二郎監督のサイレント期の代表作であると同時に、日本のサイレント映画の最高作だと思います‼️この作品は戦災を免れて、ほぼ完全な形で現代でも観ることができます‼️東京の郊外へ引っ越してきたサラリーマンの息子である小学生の兄弟が、近所の子供たちのガキ大将となる。ある時、お父さんが重役の前でペコペコするのを見てショックを受ける。自分たちは重役の子供を子分にしているのに、お父さんは情けない。父親を軽蔑し、反抗する兄弟。だが哀れなガキ大将は、飯を食い、学校へ行くしかない・・・この作品は子供が取材し、皮肉を込めて製作した「大人のための絵本」‼️父親が上役のご機嫌をとるため、必要以上に頭を下げる‼️階級とお金と忖度がつきまとう社会に対し、懐疑心と不信感を抱き始める。我々大人にとっては当たり前な大人の事情、それに対する子供たちの疑惑‼️前半はユーモラスな子供たちの世界の描写‼️学校をサボったり、ケンカしたり、仲良く遊んだり、本当にリズミカルで躍動する画面はサイレントであることを忘れさせてくれます‼️後半は一転して父親をなじることで大人の世界を告発する子供たちのシリアスな展開へ‼️全編を通して印象的なのは芸術的と言っていい字幕の使い方ですね‼️特に子供たちが父親をなじるシーンで矢継ぎ早に挿入される字幕のリズミカルさはホントに素晴らしい‼️当時は弁士の方の活弁が入っていたと思うんですけど、活弁無しでも充分リズミカルで躍動的‼️まるでアクション映画のようなテンポの良さで1時間30分がアッという間です‼️ラスト、大人にちょっとだけ近づいた子供たちのセリフ「お父ちゃん、お辞儀したほうがいいよ」‼️ホントに微笑ましいです‼️爽やかです‼️親と子の愛情と少しつらい現実も、この日本という国のひとつの風景として、淡々と風刺を込めて描いているところが、小津安二郎監督って天才なんだなぁと思わせてくれる所以です‼️
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