アリオンのレビュー・感想・評価
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子供の頃から大好きな映画
子供の頃に見てから、ずっと歌が忘れられず、記憶にしっかりと刻み込まれていたアニメ。
大好きなギリシャ神話が土台となっていて、しかも安彦良和さんのタッチが表情豊かでとても良い。
現在のカラフルなアニメと一線を画したアニメです。
壮大なスケール
神々と人間… 古代ギリシア物語をモチーフにした作品アリオンの漫画は、1970年代にはあったと記憶するが、今まで縁がなく見たことはなかった。
しかし、題材も物語もテーマも、今見ても申し分ない素晴らしい作品だった。
セネカが女だったという下りは、彼女が天涯孤独の中で生き抜くために男を装い続け、出会ったアリオンを好きになってしまい、そのアリオンは命をかけてレスフィーナを取り戻しに行くほどの気持ちを感じ、自分自身の気持ちに折り合いをつけようとするシーンは心を打たれた。
そのセネカが戦死しなかったことに安堵した。
たしかに自由は勝ち取るものだが、この物語に描かれていた支配者的神々は、おそらく姿を変えて現代にいるように感じざるを得ない。
アリオンを導いた不思議な爺さんがかれに話した「今度だけは強いられて行くのではない。お前はお前自身として行くのだ」と言う言葉は、私自身に言われているように感じた。
宮崎駿コンプレックス
アニメ畑から発掘された才能。奇跡的にコミックも面白いという、マンガ家としてのタレントを開花させた安彦さんが、自らアニメ化も手掛けた作品。
同時期に、同じ徳間書店系列でアニメ映画化された「風の谷のナウシカ」は、劇場公開時にはパッとしない興行成績だったという。
徳間系列で、2の矢3の矢として放たれたのが、「アリオン」で、キャラクターの美しさ、原作の人気、ガンダムのファンが期待していた分、当時は人気でも負けてなかったと思う。
ところが、「となりのトトロ」あたりから、ジブリアニメのブランディングが成功し、アニメ作家としての安彦良和と、宮崎駿の評価は完全に逆転してしまったと思う。
今となっては、振り返られることもなくなってしまった「アリオン」に比べて、「風の谷のナウシカ」は根強い人気を持つ。アリオンの物語は、ファンタジー色が強すぎて、現代に通じる要素が少なかったのと、強い少女が主人公という、宮崎アニメの不文律に対して、安彦アニメは、群像劇の形式をとるために一般の受けが良くないのだろう。
安彦良和氏を堪能できる作品
ガンダムで名を馳せた安彦良和氏原作で、同じく監督作品。
音楽は久石譲で、時期が近いからかナウシカと少し似た雰囲気があります。
何十年ぶり?本当久しぶりに観ましたが音がやたらと良くなってました。
また、今観ても作画が抜群に美しく、安彦氏の才覚を伺えます。
そんな氏から生まれたキャラクターは皆魅力的で、中でもセネカが素晴らしいんですね。
彼女の仕草が実に可愛くて、田中真弓さんの演じた中でも屈指の切なさでしょう。その一言一言は本当胸に来ます。
またアリオン役の中原茂さんの声が本当マッチしているんですね。イノセントな役所にぴったりでした。
あと今観ると演出面というか、どうしてもガンダム味を感じます。
アリオンとアポロンの邂逅シーンなんて完全にアムロとシャアでした。
アポロンは見た目まるっきりクワトロ(シャア)ですし、声に至ってはブライトさんです。
ギリシャ神話をベースにした本作は、皆が運命に翻弄されていく物語。
正直劇場版にあたりやや詰め込んだ感はあるのですが、それでも観ていて魅力に溢れてます。
世界を巻き込んだ戦いの末、エンドロールの後のラストは本当清々しいものでした。
安彦良和氏を堪能できる作品です。
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