アゲインスト むかい風
劇場公開日:1981年11月28日
解説
言語障害、身体障害のハンデを負いながらも力強く生きる青年の姿を描く。脚本は「典子は、今」の松山善三、監督は「さらば、わが友 実録大物死刑囚たち」の中島貞夫、撮影は「看護婦のオヤジがんばる」の南文憲がそれぞれ担当。
1981年製作/117分/日本
配給:東映セントラルフィルム
劇場公開日:1981年11月28日
ストーリー
関ケ原太郎は言語障害を伴った左半身麻痺の身障者だが、持ち前の闘志で強く明るく生きている。そんな太郎の描いた油絵「白馬岳」が日宣美展で特選を受賞した。評判の太郎の絵を見にきた、松永進という、やはり身障者の青年が、三人の若者にトイレに連れ込まれ、暴力を浴びた上に、財布や時計を奪われた。進は裕福な家庭の生まれだが、十四歳のときポリオに冒されて以来、アトリエにこもり、絵だけを楽しみにする孤独な青年だ。進はその事件のショックで絵をやめ、誰とも会おうとしない。太郎は進の家に日参し、手紙も書いた。過保護に育てられ、内向的な進も、やがて太郎の真心がわかってきた。太郎のアパートを訪ねた進は、彼から、登山に熱中して大岩壁から落ちて身障者になったことを聞く。今でも山に登るという太郎に励まされ、進は歩く努力を始めた。そして二人は登山にチャレンジした。岩また岩を、太郎は少し登っては進を引っぱった。そして、遂に頂上に。進は大声で泣いた。しかし、帰路、二人は不良学生にインネンをつけられ、負けず嫌いの太郎は、身障者らしからぬ力で相手に重傷を負わせてしまう。学生の親達が太郎を傷害罪で訴えた。そこで、事件を目撃した会社の山岳部に所属する梅原清子という女性が、太郎の正当防衛を力説した。進の父がお金をだすから示談にしようと太郎を説得するが、自分の正しさを主張して彼は刑務所に入った。太郎が出所したら白馬に登ろうと、清子と進はトレーニングを始めた。そして、やはり山狂いで大学を二浪中の清子の弟、清二も加わった。やがて、太郎が出所した。数日後、清子に清二が遺書を残し、ひとり白馬へ登ったという知らせが届いた。予備校の試験でカンニングがバレて、入試の資格を失ったためだ。白馬に向う太郎、進、清子。捜索隊も二の足を踏む壁面を三人は登り始めた。しばらくして、雪の斜面に埋もれている清二が見つかった。大雪渓を清二の遺体を引きずりながら必死に下山する三人。その時、雪崩が太郎と清子を飲みこんだ。何処にそんな力があったのか、進は力の限り雪をカキ続けた。そして、まだ息のある二人を救いだした。麓では、清二の遺骸を引いて降りて来る太郎、清子、進の姿が見えた。