旅順港

解説

「ヴァリエテ(1936)」と同じくニコラス・ファルカシュの監督作品で、プラーグに於いて製作された映画。原作はピエール・フロンデェの小説で、「プレジャンの舟唄」「掻払いの一夜」のアンリ・ドコアンが改作したものに基づき、ファルカシュ自らがアルノルド・リップと協力してそれをシナリオ化し、「楽聖ベートーヴェン」のスティーヴ・パッスールが台詞づけた。主役は「禁男の家」「不良青年」のダニエル・ダリュー及び「ジプシー男爵」「大帝の密使」のアドルフ・ウォールブリュックの二人で、「我等の仲間」「最後の戦闘機」のシャルル・ヴァネルが重要な役を勤めて共演する外、「ミモザ館」「第二情報部」のジャン・マックス、「沐浴」のジャン・ウォルムス、ジャン・ダックス、等が助演している。キャメラはオットー・ヘラーの担任、音楽はジェルマスである。

1936年製作/81分/フランス・チェコスロバキア合作
原題または英題:Port Anthur

ストーリー

明治三十七年の旅順。ユキはロシヤ人を父とし、日本人を母とする日露ハーフであった。彼女には岩村大尉という異父兄がいた。岩村はユキがロシヤ将校ボリス・ラネフスキー中尉と結婚するのを好まなかった。しかし、ユキは、ボリスの上官ノヴィツキー艦長の仲立ちによって、ボリスとロシヤ艦レヅヴィ号上で結婚式を挙げた。岩村はユキと縁を断った。この時に、日本はロシヤと戦端を開いた。旅順駐在の日本領事館は引き揚げたが、岩村大尉は重大な任務のためにこの地にとどまった。日本軍は破竹の勢いでロシヤ軍を破り、旅順へと攻め寄せて行った。ユキは愛する夫ボリスの祖国と、恩愛の情を持つ岩村の祖国との間に小さな胸を痛めていた。ユキは一日、中国人によって或る家に連れて行かれた。そこで彼女は中国人に姿を変えた岩村に出逢った。岩村はユキに通報を迫ったが、ユキはおののいて我が家に帰った。この頃、ロシヤ側ではその機密が日本側に漏れることから、旅順内に間諜が多数入り込んでいることを知り、情報部長ワァシドロは、その発見に専心した。彼の疑惑の眼はユキに注がれる。ユキは何も知らなかったのだが、疑惑は彼女の上に濃い。岩村はついにボリスの一隊に捕らえられる。この時、日本軍は勢い鋭く二〇三高地に迫って行った。旅順陥落の直前、岩村は一人の戦士として銃殺された。一方、この時に祖国の軍旗を守って浦塩へ脱出する命を受けたボリスはレヅヴィ号で日本海軍の封鎖を破ろうとした。ボリスが死地に行くと知って、釈放されたユキは跡を追い、艦に乗り込む。しかし、レヅヴィ号は封鎖を突破出来ない。ボリスは艦を軍旗もろとも自ら沈めた。そして疑惑の解けたユキを抱きながら死んだ。

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