装へる夜

解説

「外人部隊(1933)」のマリー・ベルとかつて「カルメン(1926)」「嘆きのピエロ」に出演したジャン・ミュラーとが主演する映画で、「アッシャー家の末裔」と同じくジャン・エプスタンが監督した作品。原作は「帝王の道」と同じくピエール・フロンデェの小説である。助演者は「婦人に御給仕」に出演したイギリス俳優の故ジョージ・グロスミスを始めとして「にんじん」「モンパルナスの夜」のルイ・ゴーチエ、ガストン・モージェエ、など。撮影には「にんじん」「商船テナシチー」のアルマン・ティラールを主に、ジョゼフ・バルトが協力して当たり、作曲は「白き処女地」「商船テナシチー」のジャン・ヴィーネが行った。

1933年製作/95分/フランス
原題:L'Homme a l'Hispano

ストーリー

ジョルジュ・ドヴァルテールは感傷の若者であった。彼はフランスにいても生活が窮する一方なのでセネガルに行って生活を建て直そうと考えた。そしてボルドー行きの汽車に乗ったが、車中で彼はオスウィル卿というシニカルで変質的なイギリス貴族に逢った。オスウィルは不愉快な男であったが、だが彼はジョルジュに何かしら好感を抱いた。ジョルジュはボルドーに行ったが船が出ない。そして其処で彼は偶然、旧友のドレオーヌに逢った。ドレオーヌはビアリッツに出演している彼の恋女のレヴュウの女優にやろうとして豪華なイスパノを買ったのであるが、ピアリッツには彼の妻もいるのでうかつには自動車を持って行くことが出来ず弱っていたのである。そこでドレオーヌはジョルジュを表面上この自動車の持ち主にしてピアリッツに行った。ピアリッツでジョルジュはステファーヌという美しい女性と知り合った。二人の間には始めての愛の心が芽生えた。ステファーヌはイスパノの持ち主ジョルジュを金持ちと考えているのである。所が、此の女性こそはかのオスウィル卿の妻であった。もっとも、夫の不実以来、二人は名義上だけの夫婦なのであったが。オスウィルは二人の恋を知ったが、ジョルジュの貧しい本身を知る彼はただ冷笑しただけであった。だが、金持ちと信じられている我が身を思うと、ジョルジュはそれは堪えられず、女と別れてパリに帰ろうとした。しかし、ステファーヌは彼を離れず彼とともにパリに出て来た。そこでジョルジュは最後の金を握って立派なアパートを借り、恋の生活をした。オスウィルは二人の後を追いパリに来て、ジョルジュに本当の事を彼女に打ち明ける事を条件として、そして妻を離婚した。己れのためにステファーヌが離婚したとなると、ジョルジュは責任を感じた。彼は囚人と同じ身である。恋人の故郷に彼は誘われるままに行ったが、彼はそこで最後の決意をした。オスウィルは一度は妻を離婚したものの未練が起こってまたジョルジュに迫って来た。そこで彼は、美しい夢を破らぬために、死を選んだ。そして死ぬ前に、己れの本身をステファーヌにも誰にも秘密にさせることを彼に誓わせた。かくてジョルジュは人々が宴で踊りさざめく時に、庭園の古池に過失の如くに落ちて自らの生を絶った。ステファーヌの美しい夢を守り、彼女に美しい想い出を残しつつ。

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