血の敵

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解説

スイス、チューリッヒのプレゼンス・フィルム社が製作した性病予防宣伝映画で、「世界のメロディー」のワルター・ルットマンが監督に当たり、スイス人のエミール・ベルナとルットマンの助監督G・スティリヤヌディスが撮影を担当。伴奏音楽の作曲選曲及び指揮には「世界のメロディー」のウォルフガング・ツェラーが当った。主なる出演者は「巴里-伯林」のヴォルフガング・クライン、ゲルハルト・ビーネルト、アンリ・クロース、W・グミュール嬢等である。

1931年製作/スイス
原題:Fiend in the Blood Feind im Blut

ストーリー

コロンブスがアメリカ新大陸を発見して、スペインへ凱旋した時、幾多の珍らしい土産の中に恐るべき黴毒があった。それが庸兵によって欧洲各地に分布され、猛烈な勢で蔓延し始めた。数百年間科学の先駆者達が此の恐るべき病気に対して不休の戦いをつゞけた。幾多の科学者が多年の研究の結果、此の病原菌と、有効な治療薬とを発見した。然し欧洲大戦後帰郷兵士によって此の悪病が到る処に撒布され家庭にも侵入して、猛威を振い人類を脅かすに至った。ある医科大学の学生は始業時間に遅れて教室に這入って来る。教室では教授が丁度毒の第一期第二期に関する講義をしている。学生は前夜、或る女と遊んだことを想起して、吾身に及ぶものと恐怖の念に内々戦慄していた。講義が終ってから学生は女の許を訪ねたが、女が自分を欺いていたことを知って憤怒のあまり、年輩の友達と連れ立って、歓楽の巷へ出かける。バーからダンスホールと、次から次へと二人は飲み歩いた。湧き立つようなジャズ、女達の微笑やアルコールの魅力でさえも、学生の空虚の心を楽しませることは出来なかった。然しいつか学生の友達は、あやしい街の女の誘惑の魔手に引掛って姿を晦ましてしまった。学生は一人淋しく家へ帰る。その後、学生とその友達は或医院で再会する。そこで友達が女から悪い病気を貰ったことが知れる。或る機械工場に働く職工がある。彼はいつか黴毒にかゝっている。家庭では妻が臨月近くなっている。彼は父となる幸福感と、悪病の心配とで悲嬉交々であった。彼は病気を徹底的に治療することを等閑にして工場へ通った。赤ん坊が生れた。だが不幸にして生れ乍ら奇怪な斑点が全身に出来ている。無智で善良な母親は、遺伝黴毒が不治の病気だと思い込み子供と自分とを絶望の淵から救う目的でガス自殺を計る。父親が家へ着いた時は、すでに遅かった。然し、子供だけは一命を拾い、性病専門の医院で手当を受け、不治と思われた遺伝梅毒もきれいに全治するようになった。此の事件があってから、父親自身も専門医の治療を受けて遂に此の難病を征服する事が出来た。学生はダンス・ホールで会ったタイピストと純真の恋を語るようになり、婚約を結ぶ前に、教授を訪ね、生理的にも二人が果して結婚生活に入って、よいかを相談する。教授は二人の血液を検査して、疑わしい点のない事を保証する。二人は安心して新らしい愛の生活に入るのである。

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