裏切者(1930)

解説

「アスファルト」の一篇で彗星の如く登場したベティ・アマンが、ウファを去ってポーランドのアスと云う会社で主演した映画。物語は通俗的の興味を盛ったメロドラマで、中年の銀行員の恋を描いたもの。ポーランドのヤニングスと呼ばれるボクスラウ・サンボルスキが熱演して居るが、脚色、監督ともに幼稚で、到底ウファ作品に比すべくもない。ベティー・アーマンも「アスファルト」や「二重結婚」で示したようなエロティシズムを発揮し得ず、期待したほどの面白さは味えなかった。伴奏付のサウンド映画で、伴奏がアメリカ風とは異なるため、この点だけは一部の人々から注意を引くであろう。

1930年製作/ポーランド
原題:Dangerous Love

ストーリー

十五年間の忠勤が報いられて、スピワンキイッチ氏は銀行の出納主任に昇進した。彼は銀行の隣の小鳥店へ寄って、子供への土産に一羽の小鳥を買ったが、店の女主人公アダの美しい姿に牽きつけられる自分をどうする事も出来なかった。彼はアダに近づく為毎日小鳥を買った。かくて彼はアダに対して激しい中年の恋を捧げたが、実はアダは銀行の金庫を狙う強盗の情婦だったのである。男から家を棄てて二人で何処かへ逃げようと囁かれた時、アダは醜い自分たちの仲間から縁を切って、此の純情な男と苦楽を共にしようと決心した。銀行へ大金が到着した晩、スピワンキイッチは其の金を盗んで女の家へ行ったが、女の情夫と争って其家を逃れた。女は怒った情夫に殺された。銀行を襲った情夫の一味は官憲に捕えられ、盗まれた金は無事に銀行へ戻される。自首したスピワンキイッチは「可哀そうに、頭が変になったのだ」と云われて、誰も彼の犯罪を認めようとはしなかた。

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