西部戦線一九一八年

解説

「パンドラの箱」「淪落の女の日記」のG・W・パブスト氏の監督作品で、エルンスト・ヨハンゼン氏原作の小説『四人の歩兵』から「六十八番の花嫁」「死の銀嶺」「パンドラの箱」のラディスラウス・ヴァホダ氏が脚色し、「スピオーネ」「世の果」のフリッツ・アルノ・ワグナー氏及びシャルル・メタ氏が共同で撮影したものである。主なる出演者は「死の銀嶺」「生ける屍」のグスタフ・ディースル氏、「潜航艇C一号」のフリッツ・カンパース氏、「金」「潜航艇C一号」のジャッキー・モニエ嬢、ハンス・ヨアヒム・メービス氏、クラウス・クラウゼン氏、グスタフ・プッティヤー氏、ハンナ・ヘースリッヒ嬢、エルゼ・ヘラー夫人等である。

1930年製作/97分/ドイツ
原題または英題:Westfront 1918 Comrades of 1918

ストーリー

欧州大戦が終りに近づいた1918年、フランスの或る村の一家に一中尉と一バワリア人と一学生とそれからカールと呼ぶ若者の四人がドイツ軍の兵士として駐屯している。学生はその家の娘イヴェットと恋仲となっている。そこは戦線をかなり離れてはいるが時々砲弾の見舞いをうけることがある。二三日の休養後、彼等は戦線へ召集される。そこへ着くと間もなく敵の襲撃が始まり、味方の砲兵から射ち出した砲弾のためカールとバワリア人その他が生き埋めにされる。辛うじて学生の努力で救い出され、中尉が砲兵へ着弾標準の修正を電話するが通じず、伝令犬は殺され、仕方なく学生が伝令となり、死を賭して連隊本部へ辿りつく。彼はその足ですぐ恋しいイヴェットを訪ねる。ところがそれも寸時にして巡羅士官のため再び戦線へ帰えされる。途中、彼は帰休で故郷に帰るカールに会う。ブラッセルでカールは種々食糧品を買込んで家へ帰る。故郷の町は窮乏の極に達している。結婚してわずか三ヶ月の生活にして出征し、別れたまま、八ヶ月も逢わない妻の顔を見ようとカールはいそいそと妻の宅を訪れる。然し女一人で何を仕様もない妻は、生きんがため他の男に身を任せている。憤怒のあまり彼は銃を取り上げて相手の男を射とうとするが、急にヒステリックな気持ちになって無理にその男と妻とをキッスさせて許してやる。そしてその帰休中、彼は彼女を妻として取扱わなかった。戦線へ帰った学生はフランス軍の襲撃の際、黒人の敵兵と組打したまま、砲弾穴に落ちて行方不明となる。カールは故郷から寂しく戦線に帰える。そしてバワリア人と中尉には会えるが学生は行方不明のためわからない。その日、丁度フランス軍は全力を挙げて攻撃を開始して来た。カールは中尉に願ってバワリア人と共に側面の牽制にゆく。フランス軍の総攻撃にドイツ軍は次第にせん滅されて行った。遂いにバワリア人は死に、カールは重傷を負う。累々たる死骸の中から傷ついた中尉は起き上がって最後の突撃を試みるが、あまりの残虐さに気が狂ってしまう。カールは野戦病院に運ばれる。そしてそこで妻の幻にむかい「俺はお前を赦す、凡ては戦争の罪だ」と言って死す。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

5.0塹壕に取り残されるいくつもの屍はまるで藤田嗣治画伯の『アッツ島玉砕』の様

2022年11月21日
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マサシ

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