狂乱の悪鬼

解説

フランスの連続映画界に於て名あるルイ・フイヤード氏が自らシナリオを書き、自ら監督した映画で、時代を17、8世紀の頃にとった海賊劇である。主役はパテーが「三銃士」を撮った際、ダルタニャンに扮して大当りをとったエーメ・シモン・ジラール氏が選ばれて務め、「氷島の漁夫」「レ・ミゼラブル」出演のサンドラ・ミロワノフ嬢と、古い喜劇俳優ビスコー氏とが助演している。(無声)

1922年製作/フランス
原題:The Buccaneer's Son Le Fils du Flibustier

ストーリー

17、8世紀の頃の物語。カープ・フランセエにたてこもった一隊の海賊は、機会を狙ってはスペインの船艦を襲撃して、己が鬱さをはらしていた。ペンポール生れのイーヴは、その身をこの人々に救われて以来、この海賊の仲間入りをしているのであった。彼もスペインに対しては憤りに燃えていた。かつて彼はスペインの軍艦内に酷使せられ、云い様のない恥辱を受けていた身であったが、ある日隙を見てその軍艦を逃れ、小舟に身を托して大海に漾っていた所をこの地の人々に救われたのであった。その後、彼は、この地で人々の屯する酒亭の娘ベルトランドと恋仲となり、その為に海賊の統領と果し合いをしたのであったが、武勇優れた彼は統領を斃し、人々の喝采を受けて新たに統領に選ばれた。統領になったイーヴは、先ず手始めにこの近くに来たスペインの軍艦を襲い、激しい戦の後にそれを捕獲した。斯くて一端、根拠地に引上げ戦勝の宴を張った後に、彼は再び新たなる敵を求めて船出した。そしてその船上で彼はベルトランドと結婚の式を挙げた。が、今度の船出には不運がつき纏っているのであった。襲撃すべき獲物が見出せなかった。幽霊船が不気味な姿を現した。嵐が起って犠牲を要求した。乗組員一同はイーヴに対して反抗の気勢を示すに至った。斯くて暗澹たる気持ちを抱き優愁に胸を閉されてイーヴは空しく根拠地に引返して行った。その夜、政府の一隊は不意に襲ってイーヴとベルトランドとを捕えた。翌朝、ベルトランドが獄屋の窓から表を見ると、昨日まで海賊の旗を翻した己が船は今は政府の旗を掲げており、イーヴ達は屍となって檣の上高くその身を吊し上げられていた。惨めさと悲しさとにベルトランドは冷たい獄屋の石の上に倒れた。尽きせぬ恨みが彼女の蒼い面の上にあった。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

映画レビュー

映画レビュー募集中!

この作品にレビューはまだ投稿されていません。
皆さまのレビューをお待ちしています。
みんなに感想を伝えましょう!

レビューを書く