黄金と運命

解説

古くクララ・キンボール・ヤング嬢と「日蔭の女」「希望の曙」等に共演して悪役専門で常に光った芸風を見せて呉れたポール・カペラニ氏自身で製作したものである。「本映画を作成するに当たっては最も適当なる背景を得べく遥々南米アルゼンチンに迄出張撮影をした。」云々の文句を劇の最初のタイトルに堂々と書き連ねてだいぶ自己宣伝を鳴らしている。筋は労働を厭いて安逸を欲望する世の人々の為に例を上げて誡めた教訓劇。ちなみに本映画は文部省推薦に係わったものである。

1920年製作/イタリア
原題または英題:Dollars and Destiny

ストーリー

ヴィンセット・ラミレッズは賭け事に耽り絶えず借財に苦しんでいた。寛大な父親は彼の悪癖を矯せんと種々教訓を与えたが常に何の効果もなかった。或る日父は是を熟読せよとて「賭け事師三十年」と題する本を渡した。一青年が賭け事に耽り財産も蕩尽し自身の子供の教育費にも手を付け揚げ句の果ては無一文になった。妻は子を叔父に託して夫と放浪の旅に出た。夫は働いて暮らそうともせず相変わらず賭け事に耽って居た。或る日最愛の我が子が訪ねて来たのを吾が子とは知らず大金を持っているのを奪おうと彼の命を絶たんとしたと云う筋を読みヴィンセットは翻然良心に立ち帰り魔道より救われた。そして恋人のリタ・マルチネとも結婚することが出来た。

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