劇場公開日 1952年7月25日

「流麗」輪舞(1950) jarinkochieさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0流麗

2021年11月6日
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1900年のウィーン
狂言回しのアントン・ウォルブルックがただ一人実務的で面白い

夫婦の寝室での会話と
振り子時計やベッド頭部からの映像も

舞台女優の天蓋ベッドの天井部から見下ろした
(天井部の鏡に映った?)
彼女と伯爵のラブシーンは美しいです
カメラはクリスチャン・マトラ

鏡、燭台、階段、ひだの多いカーテン等多用されている

階段は登場人物の(愛の)回転の動きに上下移動も加えている
女中の回り階段を上がった4階の勤め先の
室内の小階段の多さは不思議(笑)
駆け引きや感情の起伏を表しているのだろうか
詩人の家では娘の憧れを表現しているみたいだし
娼婦は長い階段を下りた自殺の名所で兵隊と関係する
(恋愛気分も味わいたいのに 愛は希薄)
愛情のバロメーターなのか?

女優を美しく撮影することは勿論忘れていないが
娼婦(シニョレ)には哀感が感じられる

役柄と美貌でダニエル・ダリューは別格扱いみたいだった
硬質の美女なのだが
この中年期は何か柔らか味が出たように思え、魅力的
熟成したワインみたいで「恋に酔う」感じも伝わる
衣装も豪華、ベールが2枚の不思議な帽子も
彼女がかぶるとおかしくない

大スター達の競演ですが
あっさりと上手くさばいており、さすがでした

今とは全く違う世界
でも、情緒やその雰囲気が味わえました

jarinkochie