喰いついたら放すな

劇場公開日:

解説

「マルタ島攻防戦」の製作者ピーター・デ・サリニーの原作をアラン・ファルコナーが脚本化、ジョン・ギラーミンが監督したハードボイルド・タッチのアクション・ドラマ。撮影は「狙われた男(1960)」のクリストファー・チャリス、音楽は「狂っちゃいねえぜ」のジョン・バリー。出演は「ならず者」のリチャード・トッド、「泥棒株式会社」のピーター・セラーズ、「裸足の伯爵夫人」のエリザベス・セラーズ、人気歌手で「狙われた男(1960)」に出演したアダム・フェイスなど。

1960年製作/イギリス
原題:Never Let Go
配給:大映
劇場公開日:1962年10月7日

ストーリー

うだつのあがらぬセールスマン、ジョン・カミングス(リチャード・トッド)は一旗あげようと財布をはたいて車を買ったが、一週間後盗まれてしまう。一老人から情報を得た彼はティーン・エージャーの溜り場へ行き車のことを聞き出そうとするが相手にされない。少年たちの一人トミー(アダム・フェイス)を臭いと思ったが取りつくしまもない。トミーのボスが自動車修理工場を経営するメドース(ピーター・セラーズ)ということを嗅ぎつけ、警察に話してみたが、こんなちっぽけな事件に係り合ってはくれない。車を探すことに執念の鬼と化したジョンは、もう一度、例の老人に当ってみようと、そのアパートへ行くが、老人は自殺していた。ジョンはメドースにヤキを入れられたためだろうと考え、警察を訪ね、トマス警部と一緒にメドースのガレージに行くが巧みに言い逃れられる。夜になってジョンは一人でガレージに忍び込むがメドースの子分に殴られる。傷ついて戻ったジョンに妻のアン(エリザベス・セラーズ)は、車は諦めて出直そうというがジョンは聞き入れない。メドースのところにはジャッキーという若い女がいたが、メドースの残忍さに耐えかね、トミーのアパートへ逃げ出した。メドースが追いかけてきてトミーと争う間にジャッキーは表へ逃げ出し、丁度そこへやってきたジョンは彼女を自分の家へ連れ帰った。が、メドースが今度はジョンの家へ来るのを見たジャッキーは再びトミーのもとに行き、自動車窃盗団とその背後にいる男のことをジョンや警察に話すよう頼んだ。危険を知ったメドースは盗難車の改造を命じる。トミーの情報で警察は捜査を始めるが尻尾をつかめない。夜、ジョンはガレージに忍び込み自分の車を発見した。が、そこにはメドースが待っていた。凄惨な死闘。ジョンは遂にメドースを倒した。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0ピーター・セラーズが悪役

2024年2月25日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

自動車を盗まれた男と自動車窃盗団との戦いを描いた映画で、ピーター・セラーズが悪役を熱演している作品。
こういうマイナー映画は、キープのDVDならでは…😁笑

うだつの上がらない化粧品セールスマン(リチャード・トッド)が営業成績を上げるために月賦で無理して買った自動車は、窃盗団に狙われて、いとも簡単に盗まれてしまった。
自動車会社の経営者(ピーター・セラーズ)は、普通に自動車販売している裏で自動車窃盗してナンバー変えたり塗装変えたりして転売しているワルのボス。

しかし、このセールスマンは自動車を盗まれてからというもの、仕事もろくにせず、自動車探しを「喰いついたら放すな」のタイトル通り、徹底的に探し回る。この根性が凄い!
ただ、営業成績向上のために買った自動車のために仕事をホッタラカシ……って、クビになりそうでかなりヤバい!🤣笑

冒頭テロップで驚いたのだが、この楽しい小品を監督したのがジョン・ギラーミン!
後年の超大作映画『タワーリング・インフェルノ』・『キングコング』などを作った監督とは思えないが、初期はこういう映画も作っていたのか……🙂

眼が釘付けになる場面もある「掘り出し物の佳作」であった🎥✨✨✨

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たいちぃ

5.0男の一念

2022年2月5日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

 営業車を窃盗団に盗まれ、そのせいで仕事まで失ったセールスマンが、決死の思いで車の奪還に奔走する姿を描いた映画。 タワーリングインフェルノのジョン・ギラーミンが監督した、モノクロのハードボイルドドラマだ。

 ピーター・セラーズ扮する悪徳カーディーラーの社長は、チンピラに新車を盗ませ、傘下の修理工場で改造させて売りさばく非情な悪人。 片や、リチャード・トッド扮するセールスマンは、妻と娘を養う、決して優秀とは言えない平凡な男。 窃盗事件で因縁が出来たとはいえ、それ以上深く関わるはずのない二人が、なぜ激しい戦いを繰り広げることになるのか。 ここが、ドラマの見どころとなる。

 一般人が窃盗被害に遭えば、警察に届けて待つのが普通だ。 しかし、目撃者から犯人の正体を聞き出した男は、警察の杓子定規な対応に不満を持つと同時に、苦労して買った車がもう戻ってこないかもしれないという強い不安を抱く。 男は意を決し、チンピラのいるバーや悪徳ディーラーの会社にまで出向くが、結局、暴力を振るわれ追い返されてしまう。 普通なら、これで完全に身を引くところだ。 しかし、 男は諦めない。

 男にとってこの損失に目をつぶることは、経済的な問題だけでなく、自分の人生を諦めることであり、男の沽券にも関わる問題だったからだ。

 妻は、「あなたはそんな強い男じゃない。 車のことはもう忘れて、危ない真似はやめて。 私は車も仕事もなくていいの」と懇願する。 当然だ。 男も、その言葉で妻の愛情を確認する。 だが、 「ここで諦めたら奴らの思うつぼだ」 と、絶対に車を取り返す決意を固める。 そしてついに、「あなたが行ったら、私はこの家を出るわよ」とまで言って引き留める妻を置き、 男は悪徳ディーラーの元へ車の奪還に向かうのである。

 事件に巻き込まれた平凡な夫婦の心理、そして、男の葛藤と憤懣やるかたない気持ちの高ぶりが、非常に丁寧かつ巧みに描かれている。 役者の演技も物語のテンポも抜群で、映画全盛期に作られた作品ならではの高いクオリティだ。

 男の一念、岩をも穿つー を見事に表現した快作である。

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Garu
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