情事(1962)のレビュー・感想・評価
全4件を表示
村上春樹小説の元ネタっぽい
ミケランジェロ・アントニオーニは他の作品にも感じる村上春樹っぽさ。この作品では突如消える主要人物ってところで感じます。消失に最後まで理由とかは提示されないとかも。
友人の誘惑に徐々に意識しだし、やがて落ちるモニカ・ヴィッティはエロいです。これだけでも見る価値あり。ラストシーンはさすが60年前の映画。今なら感情を出さない方がテーマがより表現できる気がしました。
男と女のすれ違う意識と愛の脆さを表現したアントニオーニ監督の美しく巧みな映像の世界
デ・シーカ、ロッセリーニ、ヴィスコンティの三大巨匠に続くイタリアの実力監督は、フェデリコ・フェリーニとミケランジェロ・アントニオーニであろう。そしてこのアントニオーニ監督の代表作がこの「情事」である。但しアントニオーニについては、「太陽はひとりぼっち」の印象から、既成の映画概念では理解できない特異な演出をする一寸変わった監督のイメージが強く、どこまで楽しめるか身構えての見学になる。そして、その予想は凡そ的中して、ストーリーの完結しないドラマの不思議な世界に身を委ねることになった。
だがそれとは別に、この映画の魅力としてカメラワークの素晴らしさがあった。話の展開が面白い訳ではない時間の流れを感じさせない、考え尽くされた画面構成の美しさがある。外交官の娘アンナのレア・マッサリ、その友人クラウディアのモニカ・ヴィッティ、そしてアンナの恋人サンドロのガブリエル・フェルゼッティの三人三様の物憂げな表情がそこに自然に溶け込んでいて、物語を追う以上に登場人物を見詰める面白さを感じた。
ヨットのバカンスの途中、ある小島でアンナの行方不明に気付いてから探し始めるクラウディアとサンドロを捉えたショットが実に巧くまた美しい。背景の自然を生かしながら二人の動きを的確に描写していく。友人を裏切るのではないかと怯えながらサンドロの要求に応えてしまうクラウディアの良心。そして心を許した後のサンドロの裏切りに変換する男と女の曖昧で脆い関係。よく見ると皮肉な話ではある。結局アンナは行方が分からずに映画は終わってしまう。
十数年前の傑作と謂われる作品だが、他の名作と違ってその良さを全面的に認めるには、まだ映画経験が足りない。しかし、カメラワークの美しく見事なことと、そのショットの巧みなモンタージュには感心してしまった。モニカ・ヴィッティとレア・マッサリの演技もいい。
1978年 6月19日 フィルムセンター
アントニオーニ監督作は、中学生の時に観た「太陽はひとりぼっち」が最初で、その後「欲望」「砂丘」「愛のめぐりあい」しか観ていない。全てを掴み切れない難物監督のひとり。1960年代の前半の時代を代表する監督のひとりだが、その時代の雰囲気を知らない世代には理解しきれないものがあるように感じる。興味深いことに、キネマ旬報のベストテンの読者票では、ベルイマンの「野いちご」フォードの「怒りの葡萄」デ・シーカの「ウンベルト・D」を押しのけてベストワンに選出されている。アラン・ドロン主演の「太陽はひとりぼっち」の公開が12月だった為もあるかも知れないが、兎に角この年にはこの二作と「夜」が同時に日本公開されて、当時の映画通に受け入れられたことは間違いない。
映画にはその時代や風俗を反映する作品と、時代を越えて普遍性をもつ作品、そして後世に漸く認められる時代を先取りした作品とに分けられるが、このアントニオーニ監督の作品は1960年代を知る意味で価値があると思われる。“愛の不毛”と呼ばれる男と女の虚無的な関係は、戦前戦中世代がある程度生活の余裕が出来て、割り切れない男女関係に関心を持てる精神的な成長過程にあったのではないだろうか。
言葉は印象的だ
冒頭のアンナのセリフで会ってない時の方が
あれこれ考えてられるから幸せというのが
印象的だった。若さゆえ自分の性に悩みつつも
アンナは彼を好きなんだと思いましたが…
その後の展開は、、、さらに男性の行動…
まぁ傷ついてたんだろうね。で済ませれるかなぁ。
私だったらどぉだろう。
でも彼女の包み込む優しさには驚きました。
友を失い、傷つき、罪悪感を感じてたんだろうな…
全4件を表示