「子どもを召集した時点で、戦争には既に負けている〜反戦映画の良作」橋(1959・西ドイツ) Haihaiさんの映画レビュー(感想・評価)
子どもを召集した時点で、戦争には既に負けている〜反戦映画の良作
1959(日本は1960)年公開、旧西ドイツ映画。
【監督】:ベルンハルト・ヴィッキ
【脚本】:ミハエル・マンスフェルト、カール・ウィルヘルム・フィフィア、ベルンハルト・ヴィッキ
【原作】:グレゴール・ドルフマイスター〜『Die Brücke(独語で「橋」)』
主な配役
【ハンス】:フォルカー・ボーネット
【アルバート】:フリッツ・ヴェッパー
【ヴァルター】:ミヒャエル・ヒンツ
【ユルゲン】:フランク・グラウブレヒト
【カール】:カール・ミハエル・バールツァー
【クラウス】:フォルカー・リヒテンブリンク
【ジギ】:ギュンター・ホフマン
【フランツィスカ】:コルドラ・トラントフ
1.監督・ベルンハルト・ヴィッキ
彼は本作の3年後、『史上最大の作戦』のドイツ側の監督を務めた。
本作がいかに高く評価されたかが分かる。
戦時招集された高校生たちが、
一人、またひとりと死に行く姿をモノクロフィルムに収めた。
アンジェイ・ワイダの『灰とダイヤモンド』などは、
どこか虚無的な雰囲気だが、
本作は、
◆戦争の狂気
◆オトナたちの横暴
◆高校生のあまりに純粋な姿(若さゆえの正義感や無謀さ)
を、ほとばしるような情熱をもって創り上げた(ように感じた)。
2.教室から戦場へ
英語の授業から映画は始まる。
やがて、
軍服を着て、銃を持って戦場に向かう。
ちゃんと銃や弾薬が支給されているのは、日本と違う。
日本は竹槍だった。
脱走を疑われて味方に追われる兵士。
子どもたちが守る橋を通って、
全力で逃げるドイツ軍の将校や正規兵たち。
橋を守る独軍が子どもだと見抜いたアメリカ兵に
「幼稚園に帰れ!」、と英語で言われ、
幼稚園(Kindergarten)がドイツと同じ発音なため、
バカにされたと怒り射殺してしまう。
すぐ後ろに人がいるのに、
パンツァーファウストを発射してしまい、
大火傷を負わせてしまう。
観ていて胸が苦しくなった。
3.まとめ
原作の著者は、この虚しい戦いに巻き込まれた
7人の高校生のうちの唯一の生存者とのこと。
子どもや老人を召集し始めたら、
いくさには既に負けている。
反戦映画の良作。
☆3.5