恋ひとすじにのレビュー・感想・評価
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昭和の少女漫画のような
原作は森鴎外と同い年のオーストリアの文豪シュニッツラーによる戯曲「恋愛三昧」で舞台ではずっと人気の演目とのこと。
主人公はサンダーバードに出てきそうなビジュアルの23歳のアラン・ドロン。
怖いもの知らずの若い将校が、男爵夫人と恋の火遊びを始めたものの、夫人の都合に合わせなくてはならない不自由が負担になって嫌気が差し始めたところに、舞台歌手を目指す初心な娘と出会ってガチ恋に落ち、夫人との関係を精算する。しかし、美しい夫人を恋い慕う男爵の友人からの告げ口により二人の不倫が夫にばれ証拠を取られてしまい、男爵に有利な決闘をする羽目になって娘も絶望してしまう悲恋の物語。
女達が色形もさまざまな美しいドレスを着ていて、将校達の制服姿も麗しく、宝塚か昭和の少女漫画のようだった。
世紀末から20世紀初頭のウィーンの空気こそが、本作の主役だったと思う 案外に深いものがある
ロミー・シュナイダー20歳
まさに輝くばかり
ピンク色の健康的な肌
広く丸い額に伸びる意志の強い細めの眉
目は大きく青い
ただ少し目の間が広い
15歳でデビュー、17歳でアイドルとなった
アラン・ドロン23歳
まだ少年のあどけなさが残っている
実にかわいい
この時はまだ無名の新人
二人は本作がきっかけで同棲し婚約までする
それぞれの第一印象は互いに酷いものだったそうだが、映画の中の恋愛が本当になってしまう
良くある話
だがドロンが1960年の「太陽がいっぱい」でブレイクするとすれ違いの生活となり、1963年に婚約は破棄される
これも良くある話
結局、籍は入ってないし、子供もいない
お話は男爵夫人との不倫関係の竜騎兵の将校が、平民の美しい娘と出逢い、本当の恋を知る
しかし不倫が男爵にバレて・・・というもの
内容は大したものはない
退屈ですらある
舞台は1906年のウィーン
当時のウィーンはパリにつぐ最先端の都会だった
ロンドンよりもベルリンよりもずっと
19世紀の宮廷の文化が平民のレベルにまで一般化しつつあった都市
クリムトの絵画で有名なウィーン分離派の芸術活動は世紀末のころをピークに一段落した頃
クライマックスにベートーベンの運命の演奏練習シーンがある
もちろん物語に合わせたものだが、1901年にクリムトがウィーン分離派会館に描いた巨大壁画「ベートーヴェン・フリーズ」を意識しているのは間違いない
2019年にクリムト展、ウィーンモダン展と立て続けにウィーン分離派に関係した美術展が日本で開催されたばかり
「ベートーヴェン・フリーズ」の原寸大での再現壁画もその時に鑑賞できた
本作は、その時代の20世紀の文化が最初に花開いたウィーンの空気が大変に良く研究されて再現されていたと思う
ウィーン観光名所こそ登場はしないものの、世紀末から20世紀初頭のウィーンの空気こそが、本作の主役だったと思う
シュトラウスの青きドナウの調べを平民が蓄音機で踊るシーンと、ブルク劇場での皇帝陛下御臨席のオペラ上演シーンの対比
男爵夫人とクリスティーナとの対比
男爵とフランツとの対比
全て19世紀と20世紀との対比だ
考えてみれば、ウィーン分離派の芸術運動と同じ捉え方だ
しかし結末は20世紀の死で終わる
その矛盾は、やがてくる第一次世界大戦で19世紀的なるものは、木っ葉微塵にされることにつながるのだ
クリムトは第一次大戦が終わった1918年に死んでいる
役割が終わったかのように
案外に深い映画だ
ちなみに1948年の「忘れじの面影」の舞台もほぼ同時代のウィーンです
男爵夫人
19世紀ウィーンの恋愛を扱ったフランス/イタリア映画(1958)
ワルツは流れているが ウィーン情緒はあんまり感じられない
ドロン、シュナイダーが若く初々しい
が、ミシュリーヌ・プレール(男爵夫人)圧倒的貫禄
鍵は何故返さなかったのだろう(想い出の品か?)
「離さないわ…」と言っていたが…
年上の女は 少し怖い
誰かが シュナイダーは努力(根性)で美しくなった… と言っていたが少し納得
(可愛いけどね)
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