美女の中の美女
劇場公開日:1957年7月18日
解説
今世紀の初め欧米各地で好評を得たイタリア出身の美貌歌手リナ・カヴァリエリの波乱の生涯を描いた一篇。チェザーレ・カヴァーニ、リアナ・フェッリ、マリオ・モニチェリ、ルチアーノ・マルティーノ、ピエロ・ピエロッティ、フランコ・ソリナス、ジョヴァンナ・ソリアの七人が共同で脚本を書き、「賄路」のロバート・Z・レオナードが監督した。撮影監督は「高校三年」のマリオ・バーヴァ、「ドイツ零年」のレンツォ・ロッセリーニが音楽を担当した。主演は「ノートルダムのせむし男」のジーナ・ロロブリジーダ、「戦争と平和」のヴィットリオ・ガスマン、「アメリカ交響楽」のロバート・アルダ。
1955年製作/イタリア
原題または英題:La Donna plu Bella del Mondo
配給:東和
劇場公開日:1957年7月18日
ストーリー
しがないオペラ歌手リナ(ジーナ・ロロブリジーダ)はパリ駐在ロシア大使館付武官セルジョ(ヴィットリオ・ガスマン)と知り合いその青年の美貌と親切はリナの心に深く刻みつけられた。その時からリナは皇帝の甥セルジョに相応しい、大歌手になろうと決心した。やがて彼女の師ドリア(ロバート・アルダ)はリナをオペラ座にデビューさせようとした。がその好意は彼の欲望の代償と知ったリナは彼の許を去り、パリの酒場に勤めた。酒場のスター、マノリータ(タマーラ・リース)はリナの人気を妬み彼女に決闘を申し込んだ。が、決闘はリナの勝利に終った。この事からリナの人気は物凄く“世界一の美女”の名を冠せられフォリー・プラステイクの舞台に一躍全パリの脚光を浴びた。その噂にセルジョは、彼女が以前に助けたリナとも知らず友人と彼女を獲得するという賭をした。その夜セルジョの邸へ招かれたリナは激しい恋の奔流に身を投げた。しかし、自分が賭の対象にされ、一途な恋をふみにじられたと信じたリナは姿を消した。やがて一年、有名なマリオ・シルヴァーニ(ジーノ・シニンベルギ)の指導に生きる希望を持ったリナは、歌手としての完全な技術を身につけオペラ座にデビューした。曲目は「ラ・トスカ」、指揮は奇しくもドリアだった。リナへ邪恋をもやすドリアの目は怪しく光っていた。リナを探し続けたセルジョは誤解をとくべくリナを訪れたがリナからマリオとの婚約を聞かされ、淋しく去っていった。「トスカ」の第三幕、マリオ扮するカバラドッシは銃殺場面で空砲ならぬ実弾に倒れた。リナはセルジョこそ犯人と確信した。マリオまで失って傷心に沈む彼女は、ドリアと共に世界各地を歌って廻り、成功に次ぐ成功にリナの名は全世界に知れ渡った。しかし彼女のレパトリーに「ラ・トスカ」の名は見られなかった。その時ロシヤ皇帝の招きによりペテルスブルグに向った彼女は、セルジョと再会、彼を犯人と信じ込むリナは、今なお心中に深くセルジョへの愛情に悩みながらも、彼の愛をはねつけた。いよいよ宮廷での上演の日、皇帝の希望曲目は「ラ・トスカ」だった。マリオを殺した犯人を知る為リナは、敢然とその申し出を受けた。やがて第三幕、カバラドッシ処刑の場面、ドリアの指揮棒は乱れてやがて気違いのようにわめきだした。ドリアは自ら罪を告白した。一切の誤解を解いたリナとセルジョは、固い抱擁の中に二度と離れまいと愛の誓を繰り返した。