「悲しいラスト」子供たちは見ている mittyさんの映画レビュー(感想・評価)
悲しいラスト
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ラストは切なくて悲しくて、胸が詰まり涙が出そうになりました。
(あまり映画では泣かない自分なのに)
子役の男の子が、特にこびた感じでもなく、わざとらしい演技でもなく、本当に自然でした。なのに、その時々の感情の微妙な動きが見事でした。序盤、母のニーナ(イザ・ポーラ)とプリコ(ルチアーノ・デ・アンブロジオ)が手をつないで公園にいるシーン。プリコはうきうきしてスケーターを押して、母と一緒にいることが至上の喜び。ラストでは、大好きだったはずの母とも決別して、背を向けて神父のもとへ向かうプリコ。この落差は傷ついた子供心が語った説明のしようのない結果だったのでしょう。父親を死に導いてしまった母の行いなんぞ受け入れるわけにはいきません。
ストーリーは大人の事情で家庭が崩壊し子供がどん底に突き落とされるという、救いようのない悲劇です。タイトルは「子供たちは見ている」と「たち」で複数になっています。(イタリア語タイトルも同じ) アンドレア家だけに起きた悲劇ではなく、作り手は普遍性を打ち出したかったのだと思います。
ヴィットリオ・デ・シーカの初期の名作。
トリュフォーの『大人は判ってくれない』が影響を受けた作品だと言われていますが、もし本当だとしたら、トリュフォーがこれを観て、自分の生い立ちと被さって思わず映画を作ったのだろうと想像してしまいました。ラストの解放されてひとりで世界に挑む感じ、この映画『子供たちは見ている』のラストにも重なってきます。
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